カザンナン

  • 中国料理

  • 現地表記

    :قازان نان(ウイグル語)

  • 概要

    :フライパン焼きの円盤状パン

カザンナン

中央アジア内陸にはトルキスタンと呼ばれる地域があり、概ね、現在のトルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、カザフスタン、キルギス、そして中国内の新疆ウイグル自治区で構成されます。前5か国は帝政ロシアの支配下部分/ソ連圏であるため西トルキスタン、新疆は清朝以来現在の中国支配下部分であるため東トルキスタンと分けられます。しかしトルキスタン -それはテュルク人の土地という意味- にはそういう民族の垣根を越えて円盤状のパン(ナンやノンと呼ぶ)が主食として食べられています。このナンやノンと呼ばれる円盤状のパンは、窯で焼かれるのですが、家庭ならオーブンで焼くほか、フライパンで焼く人も少なくないのだと教わりました。フライパンなら日本のキッチンでも焼けますからグッドアイディアです。ウイグル人直伝の「フライパン焼きパン」をレシピ化でき、また一つ、自分の経験が形に残せ、嬉しいです。

材料

1枚分):
<パン生地の材料>

薄力粉(※1)
280 g
小1
砂糖
大1
サラダ油
大1
170 mL
ドライイースト
小1
  • ※1:小麦粉は薄力粉を使用します。
  • <パンを焼く>

    サラダ油
    大1

調理時間

:40 分(パン生地を発酵させる時間を除く)

作り方

  1. ホームベーカリーの容器に材料をすべてセットし、パン生地コースで発酵させる。
  2. フタができる厚手のフライパン(あるいはタジン鍋など)を用意。サラダ油大1を敷いて底面に拡げ、極弱火にかけて加熱開始。
  3. 手にサラダ油(分量外)をつけてパン生地を取り出し、球に丸めてから、フライパンの中央に落とし、サラダ油を塗った手で優しく均等に広げ、直径20 cmくらいの円盤状にする。
  4. 両手で菜箸を1本ずつ持ち、パン生地に菜箸を刺し、ぐりぐりと底まで貫通する直径1 cm弱の穴をあける。これを3~4 cm間隔にて多数の穴をあける。
  5. フタをして35分加熱する。15分経ったら一度ひっくり返し、また15分経ったらもう一度ひっくり返し、焦げ色が足りないようなら最後の5分は火力を上げ、特に裏面は全体的にきれいなキツネ色の焼き色をつける。
  6. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 小麦粉は薄力粉を使用します。強力粉でもカザンナンは焼けるのですが、重い仕上がりになって、焼いても生焼け感が残ります。
  • 薄力粉を使うためパン生地がドーナツ生地みたくべたべたして取り扱いにくいので、指ですくえる場所に小皿に入れたサラダ油を置いておくとよいです。手にサラダ油がついているとくっついてきません。
  • ホームベーカリーのパン生地発酵コースを使うと、手間がかからずにパン生地が完成します。ない場合は手でこねます。
  • フライパンは厚手のものを使うと失敗しにくくなります。タジン鍋のような密閉性が高い調理道具があるとより成功しやすくなります。写真のカザンナンもIH対応タジン鍋で作成しています。
  • 極弱火を守って調理します。焦げ色が強くなると美味しくなくなるので、パンの色を越えて濃くなりすぎないこと。
  • このレシピで良い焼き色がつくかどうかは、調理道具と火力の条件によって変動します。1度やってみて自分用のレシピを確定し、2度め以降を安定して調理できるようにするとよいと思います。
  • 焼いているときにパンがひっついてしまうようなら、側面の4か所からサラダ油を落とし入れて、穴に菜箸を入れてぐるぐると回して底面に延ばすとよいです。
  • 生焼け気味で失敗する場合、生地を半量や2/3量にして厚みを減らせば、生焼けを解消できます(残りのパン生地は他のパンを焼くのに使えます)。ただし高さが減るのでふわふわ感も減ります。

Tips about cuisine

  • 「カザンナン」のウイグル語(中国の新疆ウイグル自治区でよく話されている言語)の綴りは「قازان نان」。
  • 「قازان」(カザン)は伝統的な鉄鍋(現在ではフライパンも含める)の、「نان」(ナン)はパンの意味である。よって「قازان نان」(カザンナン)は「鉄鍋焼きのパン」の意味になる(現代ではフライパン焼きパンも含める)。
  • 「قازان نان」(カザンナン)は「ق ا ز ا ن ن ا ن」が「n a n n a z a q」でこれを右から読む。
  • ロシア国内タタールスタン共和国の首都のカザンは「كازان」で文字も発音も違い、この料理名とは無関係である。


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