アドボンバボイ
-
国
:フィリピン料理
-
現地表記
:Adobong baboy(タガログ語)
-
概要
:豚肉の酢醤油煮
暑い国フィリピンの料理には、酢や柑橘の酸味がキリッと利いた料理が目立ちますね。生魚のキニラウも、酢煮のパクシウも、それから酢醤油煮のアドボもです。アドボの語源はスペイン語の「漬ける」という意味の動詞「アドバル」(adobar)に由来するそうですが、フィリピンとスペインが接触する前から現地の郷土料理として(醤油はもともとは塩で)存在していました。何より酢が入ることで保存性が高くなるので、日本の夏の料理としても、食中毒防止の観点からも素敵です。私はいつもこれを食べると「酢醤油の味がしっかり濃くしみ込んだつくだ煮だなあ」と感じるものです。1切れや2切れでもごはんが進んで美味しいですし、日本人にも大変食べやすい味なので、もっと夏場に普及するといいですね。アドボは味の濃い煮物という位置づけなので、例えば南部ミンダナオではココナッツミルクも入れるし、そういった意味で調味料や味付けに決まりはないのだけど、ここでは、煮あがった後にもう一度油で炒め直す、フィリピン料理として正統派の作り方を再現しています。
材料
(4人分):
- 豚バラ肉(※1)
- 500 g
- にんにく
- 5かけ
- ローリエ
- 2枚
- 粒こしょう
- 10粒
- 酢(※2)
- 大3
- 水
- 150 mL
- 醤油
- 大3.5
- サラダ油(※3)
- 大1
- ※1:豚バラ肉は脂身が入ったブロック肉を使います。
- ※2:酢は日本の酢でよいです。あまりまろやかさやコクのない工業製品の安い酢のほうが合います。
- ※3:サラダ油は最後の炒める段階で使います。ラードやもとの豚肉の脂身があればそれを使ってもよいです。
調理時間
:(肉と調味料を寝かしておく時間を除く)
作り方
:
- 豚バラ肉を12等分のブロック状に切り、煮る鍋に入れる。
- にんにくは包丁とまな板の間で体重をかけて押し潰し、ローリエは葉脈を切断するように2つに切り、鍋に入れる。
- 粒こしょう、酢、水、醤油を入れ、全体を均一に混ぜ、2時間以上置いておく(この状態で1日以上置くこともできる)。
- 鍋の中の調味料の水面の高さを覚え、鍋を強火にかけ、沸騰したらフタをして弱火にし、ときどきフタを外して上下を返しながら、味見をして塩加減と酢加減のバランスを確かめながら、水面が元の高さの1/4になるまで煮る。
- 肉のみを取り出し、油跳ねが嫌なら肉のまわりの水分をキッチンペーパーなどで拭き取り、フライパンにサラダ油を敷いて肉を炒め、煮汁を絡めて出来上がり。
- Enjoy!
材料と調理のこつ
:
- 豚バラ肉に脂身が多くつきすぎている場合、最初に切り落とし、仕上げの炒めに使ってもよいです。ただし豚の脂身が美味しい料理なので、脂身が入っているバラ肉を使います。
- 豚バラ肉は1個40 gくらいに切ると食べやすいので、約40×12≒約500 gのお肉を用意するレシピとしました。
- 豚バラ肉を12個に切り分けることで、2人でも3人でも4人でも等分しやすいレシピです。
- 煮る時に味を含めることが大事なので、急激に水分が減らないようにフタをすることが大事です。
- 煮汁の水面が元の高さの1/4になるまでおよそ30分くらいかけます。この頃は油相(融けた脂)で肉を炒めるような感じになり、水相(酢醤油液)はわずかになっています。冷蔵庫で保存するときにはこの段階がよいです。
- 好みで玉ねぎなどの野菜を加えてもよいです。
Tips about cuisine
- 「アドボンバボイ」のタガログ語(フィリピンの公用語)の綴りは「Adobong baboy」。
- 「Adobong」(アドボン)は「アドボの」の意味、「Baboy」(バボイ)は豚肉の意味。「Adobo」(アドボ)は典型的には酢と醤油の味の濃いつくだ煮のような保存性のある煮物を指す。よって「Adobong baboy」(アドボンバボイ)は「豚肉のアドボ」ないし「豚肉の酢醤油煮」のような意味になる。
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