アルダム
もとはカシミール地方のじゃがいもカレーだそうです。じゃがいもを素揚げにして表面が美味しくこんがり、それを美味しい手作りのカレーグレービーに入れてフタをして蒸し煮にした料理です。カシミール地方とは、現在インド、パキスタン、中国の3か国で領有権争いがある地域で、ユーラシアの内陸の標高の高い地域です。ここからは私の想像ですが、標高が高いカシミールでは「ダム」の調理法を使ってじゃがいもを美味しく調理する工夫をしていたのでしょうね。本来「ダム」とは鍋に具材を入れてパン生地で鍋とフタを接着して蒸す、昔ながらの圧力鍋を意味します。ダムは今も「パワー」つまり圧力の意味をもちます。でも今やこの料理はインドや周辺国各地にも広まり、気密性の高い鍋も増え、伝統製法で作られることのほうが少なくなっているように見受けられます。少なくとも日本の低地でならフライパンであっても作れる料理なのですが、それでも、カシミールへの憧れと尊敬を込めて、このレシピではきっちりフタができる鍋で作りました。丸じゃが、美味しいよねっ♪ しかも手間をかけて下ごしらえしたじゃがいもが、旨いっ♪
材料
(4人分):
- カシューナッツ
- 25 g
- じゃがいも(※1)
- 800 g
- 青唐辛子(※2)
- 1本
- 塩
- 小1
- 砂糖
- 小1/2
- カイエンペパー
- 小1/2
- ガラムマサラ
- 小2
- クミンパウダー
- 小3/4
- ターメリック
- 小1/2
- クローブパウダー
- 小1/8
- コリアンダーパウダー
- 小2
- こしょう
- 小1/4
- カスリメティ(※3)
- 大1
- にんにく
- 3かけ
- 生姜
- にんにくと同体積
- トマト(※4)
- 1個
- 玉ねぎ
- 1/2個
- サラダ油A
- 大2
- ヨーグルト(※5)
- 200 g
- 水
- 200 mL
- シナモンスティック
- 1本
- サラダ油B
- 揚げ物の量(※6)
- パクチー
- 刻んで大2
- ※1:ピンポン玉のような小粒ポテトを使って作る料理です。なるべく小さめのじゃがいもを買いますが、ない場合は大きなじゃがいもを一口大サイズに切ればよいです。
- ※2:なければ赤唐辛子や鷹の爪でもよいです。
- ※3:カスリメティはフェヌグリークの葉の乾燥品です。ない場合は省きます。
- ※4:生のトマトが完熟でない場合や、トマトに酸味がある場合は、トマト缶ホールの中のトマトを1つ使います。
- ※5:ヨーグルトは酸味の少ないものを使います。
- ※6:じゃがいもの素揚げは揚げ物の鍋に深さ4 cm以上の油を用います。
調理時間
:
作り方
:
- カシューナッツをぬるま湯(分量外)に浸しておく。
- じゃがいもの泥を落として鍋に入れ、浸る量の水(分量外)を入れて火にかけ、沸騰してから10分ゆで、ザルにあげる。
- <カレーソース準備>青唐辛子を小口切りにする(種はあってもよい)。
- 塩、砂糖、カイエンペパーパウダー、ガラムマサラのうち小さじ1.5、クミンパウダー、ターメリックパウダー、クローブパウダー、コリアンダーパウダー、こしょう、カスリメティを小皿にあわせ、スパイスミックスを作っておく。
- 生姜、にんにく、トマト、玉ねぎを粗く刻んでハンドブレンダーかミキサーの容器に入れ、ふやけたカシューナッツを加えて(漬け汁は捨てる)撹拌して玉ねぎペーストを作り、カレーを煮込むフタのできる鍋に入れる。
- 鍋にサラダ油Aと青唐辛子を入れて中火で熱し、玉ねぎペーストを香りが出るまでよく炒める。
- 玉ねぎペーストをフライパンの隅に寄せ、空いた部分にスパイスミックスを入れて乾炒りのようにローストし、玉ねぎペーストと混ぜながら香りが出るように炒める。
- ヨーグルト、水、シナモンスティックを入れて強火で熱し、全体を均一に混ぜながら水分を飛ばしながらとろみのあるカレーソースを作り、火を止めておく。
- <じゃがいも調理>じゃがいもの皮を素手ではがし、じゃがいもが直径4 cm程度以内ならそのまま、じゃがいもが大きければ4 cm程度に切る。
- 揚げ物の鍋にサラダ油Bを深さ4 cm以上入れて170℃に熱し、じゃがいもをそっと入れ、時々そっと返しながら揚げ、表面が黄金になったものから取り出す。
- <カレーの仕上げ>すべてのじゃがいもが揚がったらカレーソースの鍋に入れ、そっとカレーソースを絡めてからフタをして弱火で10分ほど蒸し煮にする。
- その間にパクチーをみじん切りにしておく。
- フタをあけ、じゃがいもが生煮えでないことを確認し、パクチーと残りのガラムマサラ(小さじ1/2)を加えてひと混ぜしてから味見をし、塩加減、辛さ加減、旨味加減などを好みに調える。
- Enjoy!
材料と調理のこつ
:
- 通常ベビーポテトを使って作られる料理です。農家が収穫するも出荷できないようなチビじゃがいもがあれば、この料理に非常に適しています。市販じゃがいもを買う時も小さめを選びます。
- 料理名の「ダム」はフタをして蒸し煮あるいは圧力調理をする意味なので、フライパンで作らず、きちんとフタができる鍋を使うほうがこの料理には合っています。
- じゃがいもの皮を包丁でむくと崩れやすくなるので、素手でむきます。むきにくい場合は包丁で端っこをめくるとむきやすくなります。
- 本来じゃがいもの蒸し煮に時間をかけるレシピが多いのですが、揚げたてのじゃがいもが活きているほうが美味しいと思うので、このレシピではカレーソースの中でじゃがいもを蒸し煮にする時間を10分としています。
- この料理はベジ料理なので肉類の旨味が伴いません。日本の市販のヨーグルトでは現地の旨味が作りにくいかもしれません。よって、味見の時に物足りなさを感じた場合は、ベジタリアンにこだわりがなければ若干鶏がらスープの素を入れるなどして旨味を足すと調うと思います。
- トマトやヨーグルトに由来する酸味が気になる場合は、砂糖を追加すると酸味が和らぎます。
- トマトを多くして赤く作るレシピもあります。
Tips about cuisine
- 「アルダム」の英語アルファベットの綴りは「Aloo dum」。「Alu dum」の表記もある。
- ヒンディー語では「आलू दम」といったように、その他、パンジャブ語、ベンガル語、ウルドゥー語などでもそれぞれ対応する綴りがある。
- 「アル」はじゃがいもの意味で、「ダム」は釜にパン生地でフタとの隙間をなくして蒸し煮にするような料理法である。
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