ムラ
「ムラ」はチャドやスーダンの国民食。これは主食をちぎってつけて食べるためのもので、穀物やキャッサバイモの粉を湯で練ってまとめた団子状の主食や、穀物の粉を薄焼きにした主食と共に食べられます。「ムラ」はとろみのある味の濃い汁の総称ですが、ここでは、オクラ(あるいはオクラパウダー)を使ってねばねばを強く出したレシピを紹介します。
材料
(2~4人分):
- 牛肉(※1)
- 300g
- 玉ねぎ
- 1個
- サラダ油
- 大4
- 水
- 500mL
- オクラ
- 20本
- マギーコンソメ(※2)
- 1個
- 塩
- 小1/3
- フェンネル(※3)
- 小1/2
- コリアンダー(※4)
- 小1
- こしょう
- 少々
- トマトペースト
- 小2
- ピーナッツバター(※5)
- 大1
- ピマン(※6)
- 1個
- ※1:牛肉は煮込むと柔らかくなる部位を使います。厚さ2~3cmほど必要なのと、高級な部位は必要ではないので、スーパーの特売のステーキ肉などがよいです。脂身があってもよいです。そのほかカレー用のカット肉でもよいです。
- ※2:1cm角で売られているコンソメキューブです。顆粒コンソメなどその他のもので代用できますが、アフリカではマギーコンソメが広まっているので、マギーを使うとアフリカ味が出ます。
- ※3:フェンネルパウダーは市販されています。フェンネルホールがあれば自家製パウダーを作ってもよいです。ない場合はクミンパウダーで代用するか、省きます。
- ※4:コリアンダーパウダーは(葉ではなく)種を粉砕したパウダー状のものを使います。
- ※5:ピーナッツバターは必ず無糖のものを使います。
- ※6:ピマンはアフリカでよく使われるコロンとした形の香りの良い唐辛子です。滅多なことでは手に入らないと思うので、なければハバネロ、それもなければ省きます。
調理時間
:1 時間
作り方
:
- 牛肉を2~3cm角にカットする。
- 玉ねぎをごく薄切りにしてからみじん切りにする。
- 煮込む鍋にサラダ油を入れて中火で熱し、玉ねぎを入れて混ぜながら炒める。
- 玉ねぎにしっかりと火が通り、少し色づき始めたら、牛肉を入れ、引き続き混ぜながら炒める。
- 肉の表面が焼けてプリンと弾力が出たら、水を入れてフタをして、中火でぐらぐらと煮る。
- その間にオクラをみじん切りにする。まな板の上でねばねばしてまとまるようになるまで、そしてオクラが舌に触らないように、とにかく細かくたたき切りにする。
- ときどき鍋の中身をヘラで混ぜて、肉が柔らかくなり玉ねぎが溶けるように煮る。
- 肉が柔らかくなったら、マギー、塩、フェンネルパウダー、コリアンダーパウダー、こしょう、トマトペースト、ピーナッツバターを入れ、全体を均一に混ぜる。
- あればピマンを入れ、絶対潰さず極力触らずに煮る。
- オクラを入れ、常に混ぜながら煮て、完全に火を通す。
- 味見をして、とろみの濃さ加減を水で調節、その他塩加減や旨味加減などを好みに調える。
- 最後、ピマンを軽く潰して全体を混ぜてピマンの香りを出す。辛いのが苦手ならここでピマンを取り除く。
- Enjoy!
材料と調理のこつ
:
- ここではステーキ肉を使って調理したので下ゆで不要です。現地にはモツを使って作るレシピもあり、その場合は下ゆでしてゆでこぼすとよいです。
- にんにくを加えるレシピもあります。その場合は1かけ程度を玉ねぎと同様に扱うとよいです。
- 玉ねぎのカットが大きいと煮ても形が残りやすくなるので、薄切りにしてからみじん切りにすると、ソースが良い仕上がりになります。
- オクラを包丁で細かくたたくのは、日本料理の「オクラのたたき」と同じ要領です。現地ではオクラのヘタを使う人も多いので、ヘタを使ってもよいです。
- オクラをハンドブレンダーを用いてみじん切りにしてもよいです。その場合、決して均一なピューレにしてはなりません。よって、連続運転はせず、一瞬だけモーターを回して、場所を変えてまた一瞬だけモーターを回す、といったことを繰り返します。そして、細かくみじん切りになったところからスプーンを使って別ボウルに取り分けていき、大きな塊がいつまでも残らないようにします。また水の一部(例えば100mL)を使うとハンドブレンダーをまわしやすいです。オクラを包丁でみじん切りにしても、ブレンダーを使っても、10~15分くらいかかると思います。水の一部をオクラのハンドブレンダーに使った場合、煮込みの水分をその分減らして総量が変わらないようにします。
- この料理は、主食をちぎってつけて、主食がするんとのどを通るように食べるためのものです。よって、主食と同時に食べることをイメージし、塩加減はあまりぼけないほうがよいです。もちろんしょっぱくなりすぎないようにも気を付けます。
- 現地では、オクラを使う場合、生オクラのほか乾燥オクラパウダーを使って作られますが、後者は日本では流通していないので、ここでは生オクラを使うレシピを掲載しています。
Tips about cuisine
- 「ムラ」のアラビア語(チャドやスーダンの公用語、南スーダンで通じやすい言語)の綴りは「ملاح」。
- 「ムラ」は主食をちぎって食べるときにつけるとろみのある汁の総称である。
- 「ムラ」は英語では例えばstew、フランス語ではsauceなどの訳が与えられる。日本語では煮込みやぶっかけなど。
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