サマックムフバザ

サマックムフバザ

中東でアラビア料理として広まっているのはイエメン料理・レバノン料理・パレスチナ料理・イラク料理など。歴史的な敗者で国家が不安定だと脱出する人がいるから広まる、という図式ありありですが、これらの地域には、単に遊牧民や漁村の文化だけでなく、文明の繁栄があります。豊かな食文化があって料理が美味しいからアラビア世界各地に料理が広まったのです。イエメンの話をすると、特に約100年前にガルフで石油が出てからはガルフが産油国として栄えていきますが、イエメン人は大勢出稼ぎに出て現地で美味しい料理をふるまう飲食店を開くから一気に産油国にイエメン料理が根付きました。この「サマックムフバザ」はイエメンの調理技法が冴えるとびきり美味しい魚料理!! 海を越えた隣国のジブチで人気があまりに人気が出て「ジブチの国民食」となるニュースもありました。私はイエメンの漁村で頂いたのですが、とにかく美味しくて、香辛料の秘密を知って自分自身が大喜び。スパイス使いは作り手によってさまざまなのでこのレシピは一例ですが、食べたときに感動した「ぐっとくる香りの多重奏」を再現したくて、レシピ化を頑張りました。この美味しさは大ごちそうですよ!!

材料

魚1尾分):

1 C
鷹の爪
3本
大きめの魚(※1)
1尾
パプリカパウダー
小2
クミンパウダー
小1/2
こしょう
小1/2
コリアンダーパウダー
小1
ターメリックパウダー
小1/8
カルダモンパウダー
小1/4
小1
にんにく
1かけ
レモン果汁
大1
オリーブオイル
大1
  • ※1:魚は今回は体長25 cmくらいの鯛を使っています。大きめの白身魚で開きにできれば種類は問いません。

調理時間

作り方

  1. 小鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したら火を止める。
  2. 湯が沸くまでの間に、鷹の爪のヘタを取り縦に切って種を取り、沸騰した湯に浸ける。
  3. 鷹の爪がふやけるまでの間に、魚が乗るサイズにクッキングシートを切り、魚を「背開き」にするようさばく。鱗とエラを取り、背中から包丁を入れて内臓に到達したら内臓を取り出し、腹がくっついたまま開き、洗い、水気を拭き、クッキングシートに開いた面を上にして魚を乗せる。
  4. にんにくをみじん切りにしてブレンダー容器に入れる。
  5. ブレンダー容器に、パプリカパウダー、クミンパウダー、こしょう、コリアンダーパウダー、ターメリックパウダー、カルダモンパウダー、塩、レモン果汁、オリーブオイルを加え、ふやけた鷹の爪と、鷹の爪を浸けていたお湯大1を加え、ブレンダーを回してスパイスペーストを作る。
  6. オーブンに天板を入れ、250℃(あるいは最高温度)で余熱開始。
  7. 魚(開いた面)にスパイスペーストの2/3くらいをまんべんなく塗り、ひっくり返して皮の面に残りをまんべんなく塗る。
  8. オーブン250℃で表面がカラカラに乾くまで焼き(例えば20分)、ひっくり返して同様に焼く(例えば10分)。
  9. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 現地ではアデニペッパー(アデンというイエメン南部の都市名がついた唐辛子)という辛さがややマイルドなローカル唐辛子を使いますが日本にはないので、鷹の爪を使い、赤味が足りない分をパプリカパウダーで補うレシピとしています。
  • 日本では魚は腹開きが一般的なので、背開きがやりにくければ腹開きでもよいです。
  • 高温かつ短時間で魚がカラカラに焼けるよう、オーブン余熱時には忘れずに天板も熱しておきます。
  • 本当はタンドール(土窯)の内壁にくっつけたり、底に落としたりして、ひっくり返すことなく高温でさっと焼くのですが、家庭のオーブンは温度が低いので両面焼きにしています。少々焦げてもいいからしっかりとカラカラに、中の水分がある程度飛んで引き締まるように焼きます。
  • 家庭用オーブンは最高温度が250℃の製品が多いのですが、より高温が出るなら温度を上げ、現地のタンドール焼きの良さを再現します。
  • 頭の中まで完全に火が通るよう、高温でじっくり焼きます。ほほ肉、頭の中、目のまわりなどの珍味の部位もお楽しみください。
  • 現地で合わせる主食はホブズ(パン)でもオロズ(ごはん)でも。薬味としての付け合わせの定番はサハウ(チーズディップ)やレモンです。
  • 素手で食べる料理です。手でつかんで骨をもしゃぶるようにしていただきます。

Tips about cuisine

  • 「サマックムフバザ」のアラビア語(イエメン、ジブチ、サウジアラビア、イラク、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、クウェート、オマーンの公用語)の綴りは「سمك مخبازة」。
  • 「سمك」(サマック)は魚の意味、「مخبازة」(ムフバザ)は「焼く道具」の意味で伝統的にはタンドール(中で炭火を熾して内壁を強熱して食材を焼く伝統的な土窯)を指す。伝統的なタンドールの調理は現代ではオーブンや魚焼きグリルにも置き換わってきており、よって「سمك مخبازة」(サマックムフバザ)はそれらを広く含めて「焼き魚」と訳してよい。
  • 「مخبازة」(ムフバザ)の語源はパンを意味する「خبز」(ホブズ)であり、「パンを焼く道具」や「パンを焼く場所」のような道具名詞の変化を起こして「مخبازة」(ムフバザ)になった。アラブの伝統的なパン(ホブズ)はタンドールで焼かれるので、「سمك مخبازة」(サマックムフバザ)は「パンを焼く釜で焼いた魚」という意味になる。
  • 「سمك مخبازة」は「س م ك م خ ب ا ز ة」が「h/t z a b x m k m s」で、末尾の「ة」はh音かt音だが一般的には発音されないので「z a b x m k m s」としてこれを右から読む。
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