ムチュジワサマキ
タンザニアという国は和名の正式名称が「タンザニア連合共和国」で、タンガニーカ共和国(アフリカ大陸の部分)とザンジバル(島の部分)が合邦してできた連合共和国です。またアラビア半島のオマーンの話をすると、大航海時代にはポルトガルに占領されるも、内陸で小競り合いをしていた各部族は打倒ポルトガルの目的のもとで統一が進み、パキスタンからモザンビークの沿岸部まで広大な領土をもつ大帝国が完成し、王はお気に入りのザンジバル(現タンザニアの沖の島)を首都にしました。ザンジバルは欧州列強が黄金を積んでも欲しがった「香辛料」を栽培する夢の島。これまた儲かる奴隷売買にも力を入れ、アフリカには高度な文化 -それはイスラムとアラブ- がもたらされ、アラブとアフリカの融合はスワヒリ文化となり、繁栄しました。ザンジバル料理やオマーン料理の良さは香辛料の香り高き美味しさがあるからで、この至極美味しい魚カレーには、料理の向こうにスワヒリ文化とザンジバルの繁栄を築いた黄金史が見えるような気すらします。「本格的にスパイスカレーを作ってみたいけれど魚カレーは未体験だわ」という方には、諸手を挙げておすすめする美食カレーです。
材料
(3~4人分):
<揚げ魚を作る>
- 白身の魚(※1)
- 1尾(※1)
- 塩A
- 小1/2
- クミンパウダーA
- 小1/2
- カレー粉
- 小1
- チューブにんにく
- 小1
- チューブ生姜
- 小1
- レモン果汁
- 小2
- 薄力粉
- 大1
- 揚げ物をする油
- 適量(※2)
<カレーを作る>
- 玉ねぎ
- 1/2個
- にんにく
- 1かけ
- 生姜
- にんにくと同量
- ピーマン
- 2個
- トマト
- 1~2個(※3)
- カレー粉
- 小1/2
- ターメリック
- 大1/2
- ガラムマサラ
- 小1/2
- カイエンペパー
- 小1/3
- ココナッツミルク
- 1/2缶(200 mL)
- カルダモンパウダー
- 小1/3
- クローブパウダー
- 小1/3
- クミンパウダーB
- 小1/3
- ロングペパー(※4)
- 小1/3
- ナツメグパウダー
- 小1/3
- こしょう
- 小1/3
- 塩B
- 小2/3
- 唐辛子(※5)
- 1個
- ※1:ここでは体長30 cm弱のアオハタを使用しています。魚の切り身を買う場合は400~500 gくらいあればよいです。
- ※2:揚げ物をする油はサラダ油などでよいです。揚げ物をする鍋に深さ2 cmくらいの量を使います。
- ※3:トマトの量は、仕上がりを明るい黄色にしたい場合は1個、仕上がりを赤くしたい場合は2個使います。写真は2個使っています。
- ※4:ロングペパーはヒハツの名前でも市販されているスパイスです。ない場合は省き、その分こしょうを増やします。
- ※5:唐辛子はあればシネンセ種のピマンを1個、なければ鷹の爪1本を使います。
調理時間
:
作り方
:
- <揚げ魚を作る>(魚が切り身でない場合は)魚のウロコを取り、ヒレをキッチンばさみで切り、内臓とエラを取り、ぶつ切りにする。
- ボウルに塩A(小さじ1/2)、クミンパウダーA(小さじ1/2)、カレー粉、チューブにんにく、チューブ生姜、レモン果汁を入れて均一に混ぜ、魚を入れて全体に絡め、30分くらいマリネする(夏は冷蔵庫で)。
- 揚げ物の鍋に深さ2 cmくらい揚げ油を入れておく。
- 玉ねぎ、にんにく、生姜、ピーマンをみじん切りにし、トマトを粗みじん切りにする。
- 魚マリネが30分経ったら魚のボウルに薄力粉の半分をふりかけ、魚をひっくり返して残り半分をふりかけ、薄力粉がついていない部分にもなるべく薄力粉をつける。
- 揚げ物の鍋を中火で熱し、160℃くらいに熱くなったら魚の切り身を入れ、から揚げを作り、取り出しておく。
- <カレーを作る>カレーを作る鍋に揚げ油を大さじ3杯ほど入れて中火で熱し、玉ねぎ、にんにく、生姜、ピーマンを入れ、しんなりして玉ねぎが色づいてきたらトマトを入れ、魚をマリネしたボウルの中に残ったものを入れ、よく炒める。
- トマトの鮮やかな色が弱くなり、全体がもったりとしたソース状になったら、カレー粉、ガラムマサラ、ターメリックパウダー、カイエンペパーパウダー、ココナッツミルクを入れ、均一に混ぜ、水分が減ってとろみがつくように煮る。
- カレーにとろみがついてきたら揚げ魚を入れ、カルダモンパウダー、クローブパウダー、クミンパウダーB(小さじ1/3)、ロングペパーパウダー、ナツメグパウダー、こしょう、塩B(小さじ2/3)、唐辛子を入れて煮る。
- 好みの加減に煮詰まったら味見をし、塩加減、スパイス加減、酸味加減、水分の加減を好みに調える。
- Enjoy!
材料と調理のこつ
:
- ここでは魚を1匹使いましたが、切り身の魚を買ってきてもよいです。
- 生トマトがないときはトマト缶を使ってもよいです(カットトマト缶で1/4~1/2くらい)。
- 唐辛子は切らずに使うので、唐辛子は良い風味をつけますが、辛くなりません。しかし唐辛子の具合によっては辛味が出てしまうかもしれないので、辛いのが苦手な場合はこまめに味見をして、気になったら取り除くとよいです。
Tips about cuisine
- 「ムチュジワサマキ」のスワヒリ語(タンザニアやケニアの公用語、オマーンに話者が比較的多い言語)の綴りは「Muchuzi wa samaki」。
- 「Muchuzi」(ムチュジ)は英語のGravy(グレイビー)でもったりした煮込み類の意味、「wa」(ワ)は英語のofと同じで「○○の」の意味、「Samaki」(サマキ)は魚の意味。よって「Muchuzi wa samaki」(ムチュジワサマキ)は「魚を煮込んだもの」という意味である。
- 「Muchuzi wa samaki」(ムチュジワサマキ)はタンザニアの島部分のザンジバル島がスパイスアイランドとして香辛料の交易拠点だったことから、しばしば「魚カレー」の意味になる。
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