シーラーズビブカル

  • イラク料理

  • 現地表記

    :شيراز ب بقل(アラビア語)

  • 概要

    :香味野菜入りのカッテージチーズ

シーラーズビブカル

最初に、和書で魅力的な料理を見つけた。カッテージチーズとみじん切り野菜を混ぜる料理の出典には「エル=バグダディ(13世紀)」と、それが「ペルシャ・インド料理」の項に記載されていた。その料理はなんだろう? 長い時間をかけて調べていたとき、やられたー、気づきました!! 「バグダディ」って、イラクの首都のバグダッドだったのです。単にイラクにとどまらない、それこそアラブの文化の1つの中心地。そして私は、だんだん、アラブ料理、そして現在の国にどこかに当てはめるのであれば、イラク料理だと確信をするようになってきました。どんどん調べていくうちに、それはどんどん紐解け、著者は通称「アルバグダディ」と呼ばれ、アッバース朝における初期アラビア語料理本(キターブアルタビーク、1226年)の編集者だった。アッバース朝は、中東地域を支配したイスラム王朝。バグダッドは762~796年、809~836年、892~1258という長い間にわたり、アッバース朝の首都・都だった。当時のバグダッドは、世界で一番大規模な都市だった。上で出てきた1226年は、まさにバグダッドが繁栄する都だったときであり、キターブアルタビークは、その栄えある時代に記録された、アラビア語の料理本だったのです。

シーラーズビブカル
شيراز ب بقل
香味野菜入りのカッテージチーズ

アッバース朝があったから、今の欧州の発展がある。今の現代社会がある。それは十字軍がイスラムから持ち帰った、さまざまなイスラム文化、イスラム経済、イスラム科学が、欧州発展の土台の大きな部分となっているからです。さあ、この、栄えあるアッバース朝のレシピで、偉大なるイスラムを偲んでみませんか。作るのは簡単ですし、めちゃくちゃ美味しいですし、何より1000年以上の歴史を感じる有意義なレシピであるかもしれません。

個人的には、こういうことを調べてから、なるべくきちんと分かってからレシピ化するのが大好きです。これからも、「レシピの向こうに地球が見える」ということを、時間をかけてでも、納得いくまで実践していこうと思います。

シーラーズビブカル

材料

2人分):

ミント
刻んで大1
長ねぎ(※1)
刻んで大1
セロリ(※2)
刻んで大1
カッテーチーズ
100g
ヨーグルト
大1
ひとつまみ
辛子(※3)
小1/3
クルミ(※4)
砕いて大2
  • ※1:長ねぎの白い部分を使用。
  • ※2:セロリの葉の部分を使うとやわらかいのでよい。
  • ※3:辛子はおでんに添えるような和辛子でよい。粉辛子を使うときは最初に小皿の中で少量の水で練り、小皿をひっくりかえして空気の出入りを遮断して、辛味を引き出し苦みを消しておく。
  • ※4:アーモンドやピスタチオなど他のナッツで代用してもよい。

調理時間

:10 分

作り方

  1. ミント、長ねぎ、セロリを丁寧に刻んでみじん切りにする。
  2. カッテージチーズ、ヨーグルト、塩、辛子を加えてやさしく混ぜる。
  3. 味見をして、塩加減を調える。
  4. 仕上げに、砕いたクルミを上からかけるか、やさしく混ぜる。
  5. 好みでクラッカーや薄く切ったパンなどを添えて、出来上がり。
  6. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 長ねぎは、ポロネギやリークを使うほうが元レシピに近くなります。
  • カッテージチーズと水切りヨーグルトをブレンド、あるいはカッテージチーズとヨーグルトをブレンドして、元レシピに近くなるようにしますが、自家製フレッシュチーズがあればより良いです。

Tips about cuisine

  • 「シーラーズビブカル」のアラビア語(イラクの公用語)の表記は「شيراز ب بقل」。
  • 「シーラーズ」(شيراز)は乾燥あるいは水切り酸乳、「ビ」(ب)は英語のwithのような意味、「ブカル」(بقل)はハーブあるいは香味野菜の意味。よって、「シーラーズビブカル」は「香味野菜入りのカッテージチーズ」のような意味になる。
  • 13世紀にバグダッド(現在のイラク)で編集・発刊された初期アラビア語料理書にも記載されている料理である。
  • 13世紀の料理書「エル=バグダディ」と「シーラーズビブカル」の検証。



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