ジャマイカ料理


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・地図を新グーグルマップにしました。国境線が分かりやすいので好きです。
・ピメント・・・オールスパイス。


基礎情報ジャマイカJamaica、首都キングストン、ISO3166-1国コードJM/JAM、独立国(1962年英国より)、公用語英語、通貨ジャマイカドル

◆料理の名前が楽しい、レゲエとラスタの国

ジャマイカはカリブ海諸国の中でも独特な文化をもつ、ハイチやキューバの近隣にあります。

カリブ海諸国は小さな島国が連なって構成されています。ジャマイカは日本の秋田県弱の面積しかありませんが、カリブ海では比較的面積の広い国です。国土は山がちで、緑が豊か。首都キングストンの東には、有名なブルーマウンテンコーヒーのふるさとの山であるブルーマウンテンがそびえます。ジャマイカ人は、他のカリブ諸国の例にもれず、アフリカからかつて移送されてきた黒人奴隷の子孫たちですが、陽気さ、音楽性、危険さなど、周辺のカリブ諸国よりも特徴的な面が多いと思います。料理もまた然り。そうです、小国集団カリブとはいえ、ハイチなりキューバなりトリニダードトバゴなり、そしてジャマイカも、比較的サイズの大きな国には独自の文化が発展していくのです。

国民はアフリカから来た黒人の子孫で、先住民は滅び・・・というストーリーは、カリブ海の歴史の大基本。だからジャマイカ料理の基礎は、ほかのカリブ海の国と概ね共通しています・・・と言いたいところだけど、独自の文化の発展もあり、独特な料理と料理名が多いこと多いこと!!

のちほど出てきますが
・ランダウン(Run down)(走る下る)
・マニッシュウォーター(男の水)
・フィッシュティー(魚の茶)
・スタンプアンドゴー(Stamp & go)(スタンプを押して行く)
・スカイジュース(お空のジュース)
・フェスティバル(お祭り)
などなどなど。
料理にこういう名前をつけるジャマイカの文化って、とっても興味深いですよね!

ジャマイカ料理の代表である「ジャーク」は、ジャマイカのマルーンによって原型が完成された料理と言われています。マルーンとは過酷な奴隷環境から山の中に逃れた黒人のことで、山に自生するピメント(オールスパイス)やタイムなどの風味を利用して、山のイノシシ(つまりは野生の豚ですね)の肉から大変に美味しいマリネ焼肉を作りました。バーベキューという言葉も、先住民タイノー族のbarabicuという単語に由来する、すなわちジャマイカの焼肉調理が語源という説が有力です。「ジャーク」にはジャークチキン、ジャークポーク、ジャークソーセージなどなどがあり、いずれも、ピリ辛でハーブや香辛料の香りが素晴らしい逸品です。路上でジャーク肉を焼くための移動式ドラム缶はジャマイカらしい光景です。ドラム缶が2つ割りになっていて、開けると下の半円はバーベキューセット、上の半円がフタになっています。

アキーアンドソルトフィッシュもジャマイカ独特の料理です。
アキーとは赤い実が生る西アフリカ原産の木で、完熟すると自然に割れ、黄色い果肉と黒い種が見えてきます。自然に開いた果肉部分のみ毒が抜けて食べられます。このアキーとソルトフィッシュ(塩漬けの干タラを戻したもの)を炒めた料理はまるで白子がどっさり入った魚肉の炒め物風!


ジャマイカ人宅ホームステイ。アキー&ソルトフィッシュで昼食です♪(撮影地キングストン)

そしてジャマイカ料理といえば鶏肉料理の多さです。
ジャークチキン(スパイシーマリネグリル)、カリーチキン(カレー)、ステューチキン(煮込み)、ブラウンステューチキン(焦がし砂糖入り煮込み)、フライドチキン、チキンフットスープ(鶏の足のスープ)などなど。

チキンだけでなくポーク(豚肉)やゴート(ヤギ肉)も同様の調理法でよく食べられており、上の料理は一層バリエーションを増します。特に、ジャークポークはジャークチキンよりも歴史あるオリジンですし、ステューポークはランチボックス定番のおかず。カリーゴートはお祝いの席から屋台まで幅広く好まれるジャマイカ人気料理です。マニッシュウォーター(水ではなくあくまでスープ)はヤギの頭のスープで精力増強作用や催淫作用もあると言われるものです。ジャマイカではヤギ料理も人気があるので山間部にはヤギ牧場でいっぱいです。

そして魚料理は、上述のアキーアンドソルトフィッシュ(アキーの実とタラの炒め物)、フィッシュティー(お茶じゃないよ、比較的澄んだ魚のスープ)、マクレルランダウン(酢じめのサバのココナッツミルク煮)、スタンプアンドゴー(タラの身入りお焼き)、スチームフィッシュ(魚や芋野菜ごった煮)、エスコビッチフィッシュ(魚を揚げるか焼いて後述のエスコビッチをかける)。コンクスープ(コンクという劇的に美味なる巨大巻貝入りスープ)やコンクフリッター(コンク入り揚げパン)などとして食べられています。

野菜も豊富なのがジャマイカ料理のよいところ。カラルー(緑の濃い何種類かの青菜はカラルーと呼ばれる。代表的なのはアマランサスの葉でほうれんそうっぽい、炒め煮やスープにする)、スチームキャベツ(キャベツを炒めながらふかす)、エスコビッチ(玉ねぎと唐辛子の酢漬けで魚によくかけられる)、

肉類が入らず野菜や豆類やイモ類だけで作る料理は総じてアイタルフードと呼ばれ、アイタルシチューなどがポピュラーです。アイタルとは天然や無添加という意味で、本格的なラスタファリアンは菜食主義者なのです。

ジャマイカ料理の風味付けの3大主役は、タイム(ハーブの一種)とピメント(オールスパイスの種)とスコッチボネット(唐辛子)です。スコッチボネットは香りが極めて素晴らしい唐辛子でで、料理に良い風味と辛味をつけるものです。その他、にんにく、生姜(ジャマイカの生姜はストロング!)、ねぎ、玉ねぎ、トマト、ブラックペッパーなどがジャマイカ料理の風味となります。

主食となる炭水化物源には、ライスアンドピース(豆入りごはん、にんにくやココナッツミルクフレーバーで美味)、ヤム(ゆでたヤムイモ)、ダシーン(ゆでたタロイモ、ココとも呼ばれる)、カサーバ(ゆでたキャッサバ)、ダンプリン(小麦粉を固く練ってゆでたもの)、プランテン(甘くない料理用バナナ)、フライダンプリン(ダンプリンを揚げたもの)、ブレッドフルーツ(パンの木の実を焚き火放置でこんがり焼いて中身を食べる)、フェスティバル(とうもろこし粉入りのほんのり甘い揚げパン)、バミ(キャッサバ粉を円盤状に成形して蒸すか揚げたもの)、そしてライス(長粒米)もよく食べられています。

家庭ではワンプレートスタイルで、主食とおかずと野菜を盛り付けていただきます。簡易食堂では発泡スチロールのボックスランチ(中に仕切りつき)にこれらが詰め込まれ、テイクアウェイできます。また、ジャマイカ国民食ともいえるパティはテイクアウェイフードの代表格。中身はビーフのとろとろ煮とかチキンとか野菜とか、でも時にロブスターなど驚きの高級食材が入っていて、これらがパイ生地に包まれています。

ジャマイカ人は金曜日は料理を作らず外食の日。だからパーティーやイベントも金曜日に多く、ジャマイカ料理屋台が出ていろんなものを食べることができます。そして土曜日はスープ料理で軽く済ませ、日曜日に料理再開でごちそうを作ります。

ジャマイカは飲み物の種類も豊富です。
ソレル(ローゼルのガクを煮出した甘酸っぱいお茶、セネガルのビサップ、エジプトやスーダンのカルカデと同じ)、ブッシュティー(ミントやレモングラスなどにお湯を注ぐ)、ココナッツジュース(実に穴をあけて中身を飲む)。コーヒーも飲みますが、有名なブルーマウンテンコーヒーは主に日本に輸出されジャマイカ人は飲みませんので、かわりにハイマウンテンなどの別銘柄がスーパーに売られています。ティンという工場ボトリングのグレープフルーツソーダはめちゃくちゃ美味しいです。ジンジャービアはビアといいつつノンアルコール、ジャマイカ産生姜は強烈でこれを飲むと元気が出ます。ちなみに日本のウィルキンソンジンジャエールはジャマイカ産生姜を使用しています。

サトウキビのお酒であるラム酒も国民的飲料であります。スカイジュースはラム酒のココナッツジュース割り、ラムパンチはラム酒をベースに5種類のフルーツが入ったジュースを注ぐもの。ビールなら「レッドストライプ」の銘柄がポピューラーです。

こうやって書き綴ることで、ジャマイカ料理は食べるものの種類が多いことが改めて分かりました。これは農業が盛んで作物が採れる国である証拠です。ただ味付けと調理法の幅が狭いので、ジャマイカ料理は単調だと感じる人もいるのも本当です。

さて、ジャマイカを旅行して、これらジャマイカ料理がどこまで経験できるものでしょうか。
アフリカンブラックのジャマイカは治安が悪く、銃も大麻も日常茶飯事で、凶悪犯罪の発生率が高い。殺人事件件数も世界で5本の指に入る(秋田県弱しかない小さな国なのに・・・)。首都キングストンのダウンタウンのマーケットでは、商店は金網越しに代金と商品を引き換える造りになっているほどです。

というわけで、多くの観光客は高級ホテルから出てきません。ビーチもプライベートビーチ。街が危ないからなんだけど、そもそもジャマイカではそうやってツーリスト産業が発展してきた。だからジャマイカで身の安全を求めると「ジャマイカ人が普段食べているジャマイカ料理」は食べられないのかもしれないなぁ、とも思ってしまいます。

◆ジャマイカに行ったら、これ食べよ♪

【肉類】
・カリー(Curry)・・・カレー。
┗カリーゴート(Curry goat)・・・ヤギ肉のカレー。お祝い料理の定番。
┗カリーチキン(Curry chicken)・・・鶏肉のカレー。
・ジャーク(Jerk)・・・スパイシーマリネグリル
┗ジャークチキン(Jerk chicken)・・・鶏肉のジャーク。
┗ジャークポーク(Jerk pork)・・・豚肉のジャーク。これが本来のジャークである。
┗ジャークソーセージ(Jerk sausage)・・・ソーセージのジャーク。
・ステュー(Stew)・・・煮込み。
┗ステューチキン(Stew chicken)・・・鶏肉の煮込み。
┗ステューポーク(Stew pork)・・・豚肉の煮込み。
・チキンフットスープ(Chicken foot soup)・・・鶏の足のスープ。
・フライドチキン(Fried chicken)・・・フライドチキン。
・ブラウンステューチキン(Brown stew chicken)・・・焦がし砂糖入り鶏肉の煮込み。
・マニッシュウォーター(Mannish water)・・・ヤギの頭のスープ。

【魚介類】
・アキーアンドソルトフィッシュ(Ackee and saltfish)・・・アキーの木の実と塩漬けタラの炒め物。
・エスコビッチフィッシュ(Escovitched fish)・・・魚を揚げるか焼いてエスコビッチをかけたもの。
・コンクスープ(Conch soup)・・・コンクという劇的に美味なる巨大巻貝入りスープ。
・コンクフリッター(Conch fritter)・・・コンク入り揚げパン
・スタンプアンドゴー(Stamp and go)・・・タラの身入りお焼き。
・スチームフィッシュ(Steamed fish)・・・魚や芋野菜ごった煮。
・フィッシュティー(Fish tea)・・・比較的澄んだ魚のスープ。
・マクレルランダウン(Mackerel run down)・・・酢じめのサバのココナッツミルク煮。

【野菜類】
・アイタルフード(I-tal food)・・・菜食主義にのっとった食材や料理。
┗アイタルシチュー(I-tal stew)・・・野菜やイモや豆を具にして作る菜食スープ。
・カラルー(Calaloo)・・・緑の濃い青菜。特定の一種類というわけではない。
・エスコビッチ(Escovitch)・・・玉ねぎと唐辛子の酢漬け。
・スチームキャベツ(Steamed cabbage)・・・キャベツを炒めながらふかしたもの。

【主食】
・カサーバ(Cassava)・・・キャッサバ。
・ダシーン(Daseen)・・・タロイモ。ココとも呼ばれる。
・ダンプリン(Dumpling)・・・小麦粉を固く練ってゆでたもの。厚い輪切りにする。
・バミ(Bammi)・・・キャッサバ粉を円盤状に成形して蒸すか揚げたもの。
・フェスティバル(Festival)・・・とうもろこし粉入りのほんのり甘い揚げパン。
・フライダンプリン(Fry dumpling)・・・ダンプリンを揚げたもの。
・プランテン(Plantain)・・・甘くない料理用バナナ。
・ブレッドフルーツ(Breadfruit)・・・パンの木の実。
・ヤム(Yam)・・・ヤムイモ。
・ライス(Rice)・・・長粒米。
・ライスアンドピース(Rice and Peas)・・・豆ココナッツミルクにんにくタイム炊き込みごはん。

【軽食】
・パティ(Patty)・・・パイ生地包み焼き。中身はビーフ、チキン、野菜、時にロブスターなど様々。

【飲み物】
・ソレル(Sorrel)・・・ロセルのガクを煮出したお茶。
・ココナッツジュース(Coconut juice)・・・ココナッツの殻の中にある汁。
・スカイジュース(Sky juice)・・・お酒のココナッツジュース割り。
・ジンジャービヤ(Ginger beer)・・・ビアといいつつノンアルコールの生姜ジュース。
・ティン(Ting)・・・工場ボトリングのグレープフルーツソーダ。めちゃくちゃ美味しい。
・ビヤ(Beer)・・・ビール。「レッドストライプ」の銘柄がポピューラー。
・ブッシュティー(Bush tea)・・・ミントやレモングラスなどにお湯を注ぐ。
・ラム(Rum)・・・サトウキビの蒸留酒。
┗ラムパンチ(Rum punch)・・・ラム酒をベースに5種類のフルーツが入ったジュースを注ぐ。

【調味料】
・タイム(Thyme)・・・小さな緑の葉をつけるハーブ。ジャマイカ料理の基本。
・ペッパー(Pepper)・・・スコッチボネット種の香り良い唐辛子。


[kuwakuwa]