カナダ料理

【新着】


【基礎情報】

国名:カナダ、Canada、首都:オタワ、ISO3166-1国コード:CA/CAN、独立国(1982年英国より)、公用語:英語・フランス語、通貨:カナダドル。

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【地図】

カナダは北米大陸の北部にあります。南と西は米国と接し、東の離島にある小島はサンピエールミクロンです。西のごく一部は太平洋に面し、北は北極海に広く面し、北東沖にはグリーンランドがあります。

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◆全土に広がる米国ベースの食材と、北の自然が恵むナチュラルな料理

カナダを東西南北旅しても同じ料理に出会う事の連続。広大な国なのに料理が変わり映えしないことこそカナダ料理の本質で、その背景には食のインフラが急速かつ強烈に米国から流れ込み、かつカナダが威信を賭けた国家事業としての大陸横断鉄道やトランスカナダハイウェイの成功があります。千年以上かけて民族ごとの食文化を醸成した欧州やアジアとは歴史の深さが違いますが、変わり映えしないことを、カナダの文化の貧しさではなく、超巨大な空間に食のインフラをゆきわたらせる国家の凄みとして捉えてみましょう。でも旅行者としては「カナダらしい料理」を探したいですよね。プティーンやメープルシロップ、ニューファンドランド島のジグスディナーやアカディアのラペ、ケベックのクレトン、そして先住民が食べてきたバノックやトナカイ肉もお目当てにしたいし、北極海のクジラ料理「マクタク」に出会えたら最高! 北の自然が恵むナチュラルな食材が米国ベースのカナダ料理を魅力豊かにしています。

マクタク
陸路で行ける北極海唯一の町でマクタク(クジラの特殊皮下組織)を入手!(撮影地イヌビク)

カナダを肌身で知らない人が「カナダ料理とは」の答えをつかむためには、以下のように歴史や背景を学び、食文化を捉えるとよいでしょう。

カナダ国民は7割(2021年)が欧州移民の子孫である白人です。でも一万年以上前からそこにはモンゴロイド系の先住民(つまりは日本人と遺伝子が近い人)が住んできました。モンゴロイドの土地が欧州白人の国となる始まりは米国と同じく大航海時代以降の、英国とフランスによる植民地形成ですが、1700年代の英仏の戦争(フレンチインディアン戦争、1754〜1763年)で英国が勝ってほぼ全土掌握したことで、今のカナダの地域は英国植民地になります。そのとき英国支配に抵抗して追放されたアカディア地域のフランス人は米国南部(現ルイジアナ州など)でケイジャン文化を作り名物料理ガンボやジャンバラヤを生み出します。一方ケベック地方のフランス人は残留を決め、ケベックには現在に至るまでフランス文化を残し郷土料理が受け継がれてきました。カナダ筆頭の名物料理プティーンはケベック生まれです。

1800年代、英国は第一次産業革命(1840年)からインド帝国成立(1858年)を経てアジア経営で繁栄し、野心はアジアとアフリカに向いていた。これが後のアフリカ分割(1884~85年ベルリン会議)での植民地大量獲得につながります。しかし北米では米国の南北戦争が終結(1865年)して米国が急速に力をつけてしまい、英国は北米に干渉できなくなってきた。だから自国植民地であるカナダに「自治権を増やして、何かあったらカナダに責任を取ってもらう形を作りましょう」として、カナダの国家原型が出来ました(1867年7月1日)。今も7月1日はカナダデーとして全土でお祝いをする日です。

カナダはこのように植民地ながら自治を始め、1931年立法独立。順調に権限を増やし、外交権を得て、国連に代表を送るほどになり、1982年にやっと憲法改正権を得て完全独立国(1982年)となります。1982年ですよ? 若いですよね? カナダは古くもあるが新しい国なのです。日本人から見ると「カナダも米国も似た感じ」というイメージがありますけど、親(英国)に真っ向から喧嘩売って泥沼戦争を繰り返してきた戦争主義の米国と、親がだんだん手を放して子どもがすくすく伸びて成人したようなカナダは、歴史のクリーンさが違う。

料理の話しをしましょう。
私たち日本人は、「アメリカの料理を挙げて」と言われれば、ステーキ、フライドポテト、ハンバーガー、パンケーキなど数々の料理を言うことができますが、こうした日本進出チェーン企業的な料理は実はすべてカナダ人の日常食でもあります。だからカナダ料理の基本としては「米国とカナダの料理が基本同じ」ことを前提とし、第二段階として両国の違いを見つけ、第三段階としてカナダの地方料理を知るというやり方で理解していくのがよいです。

米国とカナダの共通点を挙げてみます。
カナダは面積世界第2位、海岸線長さ世界第1位という巨大な国ですが、人口の7割(2016年)が国土の4%(米国国境から100 km以内)に集中して居住します。トロント、オタワ、モントリオール、バンクーバーなどカナダの大都市は全て南部の米国国境ゾーンにあり、カナダ人が食べる食材の大部分が米国から運ばれてくるか、米国企業がカナダに工場を置いて米国と同じものが出荷されています。カナダのスーパーに行くと米国の工場出荷食品(パック詰め生鮮品、冷凍食品、缶詰、加工チーズ、調味料類)が幅を利かせています。飲食店に入ってもメニュー表には米国と同じ料理が載っているし、食材や調味料が米国と同じなので出てくる料理もあまねく米国と同じ味がする。そしてカナダの米国国境沿いではない「96%」に点在する町にもそういう米国工業生産品が運ばれるから、食べる物も味も米国と同じという図式がカナダじゅうに広がっています。カナダ料理と米国料理の共通点は、主食がパン、工場出荷食品の使用率が高い、油分が多い、揚げ物が多い、加工食品が多い、冷凍食品が豊富、パンとおかずが一体化した料理が多い(サンドイッチやハンバーガー類)、じゃがいもが多い、野菜が少なめ、肉のおかずが多いなど。なお後述のように「カナダはシーフード自慢」ではありますが普段は皆さんお肉料理を食べているので、なおさら米国と似ていると感じます。

次に、米国とカナダの違いを挙げてみます。
カナダと米国本土(本土=米国50州から飛び地のハワイとアラスカを除いた部分)の決定的な違いは緯度と国土の開拓度です。巨大農業国となった温暖な米国と、寒すぎて野菜栽培も酪農も厳しいカナダ。大自然が山脈付近しか残らない開拓しきった米国と、開拓不能な山林湖沼だらけのカナダ。カナダよりも米国のほうが食べる物を圧倒的に多く作れるので、それがカナダに流れ込んでいるのです。

次の違いはアングロサクソン(英国系移民子孫)以外の住民。米国では黒人文化やヒスパニック文化が強い一方で、カナダで目立つのは歴史あるフランス文化です(特に上述のケベック州やニューブランズウィック州など)。カナダでは食品パッケージが基本的に英語とフランス語の2か国語表記であることも米国との違いで、このように国民は料理のフランス語にも日常的に接しています(カナダ国民食のプティーンPoutineもフランス語です)。フランス系住民は調理に手をかけ食事に時間をかけ、食文化の根本が違う。フランスの要素が入ると食事はぐっと美味しくなりますから、そういうフランス系住民が多い地域に行くほど、カナダ料理が米国料理より美味しいと感じるのは自然なことでしょう。

ちなみにアジア人人口比率はカナダで20%(2021年)、米国で7%(2024年)でカナダの高さが一見目立つように見えてしまいますが彼らの人口絶対数は米国がカナダの3倍にも上るので、カナダと米国のアジア移民による影響は「どっちもある」とし、どっちが大きいかなどはあまり考慮しなくてよいと思います。両国ともに最多民族である白人の基本食文化にはアジア料理はあまり含まれませんし。

それよりも着目すべきは先住民人口比率です。先住民は白人よりもそこに長くいる人々なのでしっかりと着目すべき民族です。総人口における先住民比率は米国は1%(2024年)でカナダが5%(2021年)。5%って多いですよ、20人に1人ですからね。カナダでは、先住民が伝統的に作ってきたスモークフィッシュは旅行者でもスーパーで買えます。ただ獣(ヘラジカなど)やクジラの狩猟と販売には法的規制があるので旅行者は入手困難ですが、地元の食文化としては今も狩猟肉やクジラ肉は食べられています。地元の人と仲良くなれば入手可能です。

次に、米国よりもカナダのほうでよく見る料理を挙げてみます。
野菜の生産は少なくても、ベリー類・メープルシロップ・寒冷の海が恵む豊かなシーフードなどはカナダ料理の魅力です。メープルシロップ味の製菓や料理はたくさんあってメープルの香りがあるだけでカナダフレーバーになります。カナダ人は日本人が驚くメープルシロップの使い方をしますよ。卵焼きやきのこ炒めにメープルシロップをかけたり、豆をメープルシロップで煮たり、肉にメープルシロップを混ぜたソーセージを作ったり。メープルシロップ味のベーコンは国中どこにでも売られているほど普及しています。

カナダに多い料理としては、プティーン(フライドポテトにグレイビーソースとチーズたっぷり)やエッグベネディクト(パンにポーチドエッグを乗せてレモンバター卵黄ソースをかける)、それからキャンプファイヤーで作るスモア(焼きマシュマロとチョコレート)など。地域特産としてはニューファンドランド島のタラ料理やニューブランズウィック州のアカディア人の街で食べるラペ(巨大じゃがいも団子)や、ケベック州のトゥルティエール(肉野菜のパイ)など。カナダに多いアジア系料理の筆頭はドネア(ケバブ)ですかね。

カナダの魅力は、そこが「北国の大自然」にあることです。飛行機で街をつなぐよりもレンタカーを借りて、人が集中する南部4%から離れ「96%」を旅してみませんか。町と町がめっちゃくちゃ離れていて人がおらず、大自然に飲み込まれる。大自然には多くのナチュラルな食の恵みがありますから、大規模チェーンのスーパーよりもローカルなマーケットへ行ってみましょう。カナダの土地が育む本当のカナダ料理の、ナチュラルでヘルシーな、食べると心がきれいになる料理をたくさん味わうことを目的にカナダを旅するのはとても楽しいことです。
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