アルカトラ

  • ポルトガル料理

  • 現地表記

    :Alcatra(ポルトガル語)

  • 概要

    :牛肉のややスパイシーな土鍋煮

アルカトラ

アルカトラ

イベリア半島を本土とするポルトガルには大西洋に離島があり、その離島の1つにアゾレス諸島のテルセイラ島があります。私がテルセイラ島を訪問して是非食べたかった料理が、テルセイラ名物の「アルカトラ」という、牛肉のややスパイシーな土鍋煮です。伝統的にはピザ窯のような強熱空間にカソイラ(Caçoila)というテルセイラ産の土器を入れるのですが、現代的にはオーブンで焼くか、あとはレストランでは注文を受けてからガスコンロで土鍋を強熱して作ります。ということで私が食べたのはレストラン方式のアルカトラで、ここでもコンロで熱するレシピを掲載します。ご自宅に小さめの土鍋があるなら、土鍋を使って作ると、器から食材への熱の伝わり方が再現できて良いと思います。トマトを使わないのに赤く、こしょうを使わないのにスパイシーという点では、体験する価値ありの一品です。食べた人の感想は「肉が旨い、スープが旨い、これは旨い」です!

材料

3~4人分):

ラード
大2
にんにく
1玉(※1)
玉ねぎ
大1個
ベーコンの脂身
50~100 g
牛塊肉
600 g
小1/2
ベイリーフ
2枚
オールスパイスホール
8粒
クローブホール
8粒
シナモンスティック
3 cm
白ワイン
250 mL(※2)
250 mL(※2)
ハリッサ(※3)
大2.5(※3)
ダシダ(※4)
小1/2
バター
大1
  • ※1:にんにくは1かけではなく1玉まるごとを使います。
  • ※2:白ワインと水の量は鍋のサイズにより増減します。
  • ※3:ハリッサは現地の唐辛子ペーストの代用です。なければ豆板醤やかんずりなど他の唐辛子ペーストでよいです。使う物により辛さが異なるので使用量が変わりますがハウス食品から発売されているハリッサペーストなら大さじ2.5杯入れてもそれほど辛くなりません。
  • ※4:現地ではビーフストックを使うレシピもあり、ダシダは牛肉の旨味の補完で使います。ビーフコンソメの素などでもよいです。

調理時間

作り方

  1. 土鍋の内側にラードを塗る。
  2. にんにくはバラバラにせず、球の外側の薄皮をはぎ(1かけずつを包んでいる薄皮ははがない)、土鍋の底の中央に置く。
  3. 玉ねぎは長さ3 cmくらいの薄切りにする(玉ねぎを縦半分に切り、横3等分に切り、薄切りにするなど)。
  4. ベーコンの脂身を1~2 cm角に切り、牛肉は10~12等分くらいに切り分ける。
  5. 土鍋の底から順に、玉ねぎの半量、ベーコンの脂身の半量、牛肉の半量、塩の半量(小さじ1/3杯)を入れ、次に、残りの玉ねぎ、残りのベーコンの脂身、残りの牛肉、残りの塩(小さじ1/3杯)を入れ、上から軽くぎゅっと押す。
  6. ベイリーフを2つに切って入れ、オールスパイスホール、クローブホール、シナモンスティックを入れる。
  7. 材料の高さになるまで白ワインと水を注ぎ、ハリッサ、ダシダ、バターを乗せる。
  8. フタをして中火にかけ、沸騰したら弱火にして40分ほど煮る(アクは取らない)。
  9. 味見をして塩加減や旨味加減などを好みに調え、最後は5分ほど強火で熱して中をぐらぐらと煮る。
  10. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 分量はおよそ1.2 L入る土鍋で約1 Lを作成したときの量です。鍋のサイズによって増減できます。
  • 土鍋がなければ通常の鍋やビビンパの石鍋で作ってもよいです。またオーブン耐熱皿に入れて高温で2時間加熱する方式で作ってもよいです。
  • 土鍋の内側にラードを塗るのは土鍋の内側表面の保護であり、日本の土鍋は内側にも釉薬がかかっているので不要ではありますが、土鍋が割れにくくなるのと、現地の調理を真似る意味で、この調理でも塗っています。
  • ラードがなければオリーブオイルでもよいです。
  • ベーコンの脂身は、スーパーの安いベーコンなど「脂身が妙に多いベーコン」を買い求めるとよいです。肉の部分が少々入っても大丈夫です。
  • 現地では骨付き牛肉を使うレシピもあります。
  • 日本のスーパーで買う牛肉で作っても肉の美味しさやアクがあまり出なくて、ダシダやビーフコンソメの素のような、牛肉の旨味を補完する材料は使うほうが現地の味わいに近くなります。またアクは取らずに調理します。
  • 通常は白ワインを使いますが、赤ワインを使うレシピもあります。
  • 現地では「Massa de Malagueta Açores」(マッサデマラゲッタアソレス)という、アゾレス諸島特産唐辛子をペーストにしたものを使いますが、日本では滅多に手に入らないので、アゾレス→ポルトガル→イベリア半島→スペイン→スペインから地中海へ広まったハリッサ、と連想して、あと今では数社からハリッサペーストが市販されているのでそれを使いました。手作りすることもできレシピは、≫こちら。あまり辛くなりすぎない量を加えるようにします。
  • 味見をして白ワインの酸味が気になる場合は砂糖を少し加えて和らげることができます。
  • 付け合わせの定番はじゃがいもです。同時進行でゆでじゃがを作るなどすると美味しく組み合わせていただけます。パンを添えてもよいです。

Tips about cuisine

  • 「アルカトラ」のポルトガル語の綴りは「Alcatra」。
  • 「Alcatra」(アルカトラ)はランプ肉(尻の肉)の意味である。
  • アルカトラはポルトガルの大西洋の離島であるアゾレス諸島のテルセイラ島の名物料理である。
  • ポルトガル本土に「チャンファナ」(Chanfana)というヤギ肉を使う類似の古い料理がある。それがアゾレス諸島では牛肉料理に変化したという説がある。
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