プサロスパ

  • ギリシャ料理、キプロス料理

  • 現地表記

    :Ψαρόσουπα(ギリシャ語)

  • 概要

    :レモン果汁や野菜入りの魚のスープ

プサロスパ

プサロスパはギリシャ語で「魚のスープ」という意味の料理です。だから、使う魚の種類もいろいろ、入れる野菜類もいろいろ、とろみがつくポタージュタイプもとろみのないクリアタイプもあり、具がスープに入るワンディッシュタイプも具と汁を別々にするセパレートタイプもあります。今回私が作ったプサロスパは、白身魚を使い、米でとろみをつけるタイプで(でもややクリアタイプに近いものにしています)、具がスープに入っているタイプのもの。魚の頭やアラごと煮てとるダシ汁の旨味が素晴らしく、レモンとオリーブオイルを入れて煮るので爽やかさっぱりした味わいです。レモンが入っているのがすごくいい。市販レモン果汁を使えば一年中作れる料理ですが、特に秋は地物のレモンの旬なので国産レモンが多数安く出回りますので、そういうレモンを使うことで格別の美味しさが味わえます。

材料

8人分):

一匹魚(※1)
800 g~1 kg(※1)
2 L
玉ねぎ
1個
にんじん
1本
じゃがいも
2個
ズッキーニ
小1本
セロリ
刻んで1/2 C分
米(※2)
30 mL(※2)
ドライオレガノ
小1/3
小1
白こしょう(※3)
小1/5
オリーブオイル
大2
レモン果汁
大3~5(※4)
  • ※1:魚の種類や重量は問いませんが、煮汁の旨味を味わうスープなので白身魚がよく、骨やアラからダシを取るので一匹魚がよいです。今回は400~500 gくらいの小さめのイサキを2尾使っています。
  • ※2:米はとろみをつける場合に加えます。透明クリアなスープを作るなら不要です。また分量も希望のとろみ具合により変わります。
  • ※3:白こしょうがない場合は普通のこしょうでよいです。
  • ※4:レモン果汁の量は好みで決めます。暑い夏はレモンが利いているほうが美味しいです。

調理時間

作り方

  1. 魚のウロコやエラを取り、腹を開いて内臓を取り、水(分量外)で洗う。
  2. 鍋に魚と水(2 L)を入れて強火にかけ、沸騰したら火加減を落として弱い沸騰を保ちながら20分くらい煮る。
  3. その間に野菜を食べやすいサイズに切る。一例としては、セロリの葉を仕上げ用に取り分けておき、玉ねぎは1 cm幅の2~3 cm長さ、にんじんは2 cm角、じゃがいもとズッキーニは2~3 cm角、セロリの茎は1 cm幅に切る。
  4. 目の粗い網じゃくしなどを使って、煮汁に落ちたウロコや小骨を取らないように、魚をバットに取り出す。
  5. 鍋の中のゆで汁をいったんザルで濾し、煮汁に落ちたウロコや小骨を除去し、煮汁を鍋に戻す。
  6. 鍋に野菜、米、ドライオレガノを入れて強火にかけ、沸騰したら火加減を落として弱い沸騰を保ちながら20分くらい煮る。
  7. その間に取り出した魚を、身と食べられない部分(骨やヒレなど)に分け、大きな身は仕上げ用に取っておき、細かい身を鍋に戻す。
  8. 鍋に塩、白こしょう、オリーブオイル、レモン果汁を入れて混ぜ、味見をして塩加減や酸味加減を好みに調える。
  9. <オプション>均一な良いとろみをつけたい場合はいったん野菜をお玉で別の容器にすくい、残った煮汁をハンドブレンダーにかけ、野菜を戻す。
  10. <オプション>仕上げ用にセロリの葉を取っておいた場合は刻んで最後にさっと混ぜ込む。
  11. 器にスープをよそい、取り分けておいた魚の身を乗せてできあがり。
  12. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 料理名の「プサロスパ」は「魚のスープ」という意味なので、魚や野菜の種類に決まりはなく、材料はそのときあるものを使うような幅の広い料理です。
  • 透明でシンプルな魚スープから、とろみが強くどろっとした魚スープまで、スープの見た目や食感も幅広い料理です。この写真ではその間をとるように調理しています。
  • とろみをつける方法には、米を入れる方法と、じゃがいもすりおろしを入れるレシピもあります。
  • もし魚の切り身を使って作る場合、魚のダシがあまり出ないので、フィッシュストック類を使って魚風味の旨味を得るようにするとよいです。
  • 具を取り出し、具とスープをセパレートして食べる方法もあれば、スープと具を1皿で食べる方法もあります。この写真は後者で作っています。
  • 具とスープをセパレートして食べるとき、魚肉からは味が抜けているので、ラドレモノというオリーブオイルとレモンの乳化ドレッシングをかけていただきます。
  • プサロスパはアブゴレモノの技法、すなわち美味しい魚スープを作ったあとにレモンと卵を混ぜたカスタードを加えて黄色い不透明にする技法でもよく調理されます。ここでは別途アブゴレモノのレシピを掲載しているので、アブゴレモノの技法を使わないクラシックな魚スープとしました。
  • 魚の身を外すとき、丁寧に取り外すほど魚の身が崩れ、手短に取り外すほど小骨が残ります。後者の場合は食べる人に、小骨が残っているかもしれないから注意するように伝えます。
  • スープを煮るとき、一度煮てから冷蔵庫で一晩置くと非常に良いダシが出ます。
  • スープを煮るとき、ベイリーフ、ローズマリー、オレガノの茎などを加えると風味が増します。それらを使う場合は途中で取り出します。
  • レモン、オリーブオイル、にんじんの効果で煮汁が白~黄色がかってきれいなので、黒こしょうよりも白こしょうが合います。またレモンの酸味を強くするほどこしょうも多いほうが合います。酸味を控える場合はこしょうの量が多すぎないようにします。

Tips about cuisine

  • 「プサロスパ」のギリシャ語(ギリシャ、キプロスの公用語)の綴りは「Ψαρόσουπα」。
  • 「Ψαρόσουπα」(プサロスパ)の形成は、ギリシャ語で魚は「Ψάρι」(プサリ)、スープは「Σούπα」(スパ)(小文字でσούπα)で、文字の上の「´」は強アクセントを示すので、魚の「Ψάρι」(プサリ)はサが強くスープの「Σούπα」(スパ)はスが強く読まれることになり、その2単語が連結すると「Ψάρι」(プサリ)が語形変化を起こして「Ψαρο」(プサロ)という接頭語になり、連結後の「Ψαροσουπα」(プサロスパ)においてアクセントはロが強く読まれるのでそのようにアキュートがつけられて「Ψαρόσουπα」(プサロスパ)となったと思われる。よって「Ψαρόσουπα」(プサロスパ)は魚のスープという意味である。
  • 「Σούπα」(スパ)における「ου」は「ウの短母音」なので、スーパではなくスパになる。現地のギリシャ人の発音も「プサロスパ」だった。
本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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