水饺(シュイチャオ)
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国
:中国料理
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現地表記
:水饺(中国簡体字)
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概要
:皮から手作りの水餃子
中国の水饺(シュイチャオ、水餃子)は、主食と主菜を兼ねて食べられています。餃子は、皮の部分が炭水化物、具がタンパク質や野菜類、それからゆで汁はスープとして飲むので、一食として機能できるのです。注文の仕方は「イージン(一斤、皮を作る粉の分量で500 gの意味)」といえばたっぷりすぎる餃子が登場します。現地に行くと「パンジン(半斤、250 g)」を注文して2人で食べたりしています。今回のレシピでは、「パンジン(半斤)」の作り方を記載しています。私が百回近くかそれ以上反復して「中国でよく食べた餃子」に近づけたこのレシピは、粉の量をパンジン(半斤、250 g)にすることにこだわって貫いたもの。また水饺(シュイチャオ)の具は多様でバリエーション豊かですが、ここではニラと豚肉が半々の、我が家の定番レシピを掲載しています。とにかく反復してとにかく上達してきた記録をこめ、コツを惜しみなく紹介しますので、長文ですけれど是非コツ欄をお読みください。
材料
(36個分):
<皮>
- 中力粉
- 225 g
- 強力粉
- 20 g
- 片栗粉
- 5 g
- 塩
- 3 g(小1/2)
- 熱湯
- 115 g(※1)
- ※1:熱湯の量は空気の湿度や粉の含水量によって変動しうるため多めに用意します。
<具>
- ニラ
- 110 g
- 豚ひき肉
- 110 g
- 塩
- 小1/3
- 味の素
- 小1/5
- こしょう
- 小1/5
- 鶏がらスープの素
- 小1/3
- 醤油
- 小1
- ごま油(※2)
- 大1
- ※2:ラードがあればごま油を減らしてラードを使うとよいです。
調理時間
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作り方
:
- <皮の準備>ボウルに中力粉、強力粉、片栗粉を入れ、スプーンで混ぜて均一にし、中央をくぼませて塩を入れ、塩をめがけて熱湯を入れ、塩を溶かしながら粉と水分を混ぜる。
- 水分が粉に吸われたらスプーンでボウルについた生地をかき落とし、生地を手のひらの付け根で押し、生地を2つ折りにしてまた押し、を100回繰り返し、生地が乾かないようにビニールシート類でくるんで15分置いておく。
- <具の準備>その間にニラを洗ってザルにあげ、別のボウルにひき肉と調味料類を入れ、ニラを振って水切りしてから3 mm幅にみじん切りにしてボウルに入れ、ヘラでひき肉を潰して肉の脂を引き出しながら均一に混ぜる。
- <皮の仕上げ>皮の生地を手のひらの付け根で押し、生地を2つ折りにしてまた押し、を100回繰り返し、まん丸に成形してから生地が乾かないようにビニールシート類でくるんで15分置いておく(この間に片付けと次の準備)。
- 作業台に打ち粉(分量外)をふり(茶漉しに粉を入れるときれいにふれる)、麺棒を出しておく。あれば直径7 cmで底面が平らなコップも出しておく。
- 生地の重さを量り、仮に360 gなら180 gずつになるよう包丁で中心を切り、1つはそのまま置いておき、1つはビニールシート類でくるんでおく。
- 生地を手のひら2枚の間(あるいは打ち粉のない台と手のひら)で転がして直径2~3 cmほどの棒状にする。
- 1個が10 gになるようにキッチンスケールの上にキッチンバサミで切り落とす(あるいは包丁で切るか指でちぎる)。※例えば生地が178 gの場合は10 gを16個と9 gが2個でよい。
- 個々の生地を上から見て丸くなるように指先で形を整え、打ち粉をした台に置く。
- 残りの塊も同様に、18個の丸い生地を作り、打ち粉をした台に置く。
- 36個全部に打ち粉を薄くふる(茶漉しでふるとやりやすい)。
- 底が平らなコップなどで上から押し、直径4 cmくらいに延ばす。※このとき正円でないなら指で正円に成形する。
- 必要なら打ち粉をしながら、端から中央まで麺棒を転がしてから生地を少し回転させ、を繰り返して1周し、直径7 cmの正円の生地を作る。このとき中央が少し厚く、端が薄くなりすぎず厚さが保てるようにする(端が尖らないようにする)。これを繰り返して皮を36枚作り、重ならないように置いておく。
- <ゆでる準備>できるだけ大きな鍋(5 Lは欲しい)に水をたっぷり入れ、強火にかけて沸かし始める。
- <具を包む>バットか平皿に具を四角く乗せ、スプーンかヘラで36等分にする(6×6や9×4などに分ける)。
- 手元に水(分量外)が入った容器を置き、鍋の直径より小さな皿を餃子が乗るだけ用意し、皿に薄く打ち粉をふっておく。
- (利き手が右なら)皮の上の面(空気に触れて乾いている面)が下になるように左の手のひらに乗せ、中央を右手の親指で押して軽くへこませてから具(36分の1)を乗せ、右の指で皮の上半周に水をつけ、下の最下位の位置(時計の6時の位置)をもちあげて上のてっぺん(時計の12時の位置)にくっつける。手前1か所、奥1か所にヒダを取るように円周を閉じ、はみでそうな具は押し込み、右手人差し指を第二関節でカギ型に曲げ、餃子の円弧の半周をすべて当て、右親指と左親指で半周の半分ずつを押さえて一気に全部を閉じ、力をかけて具が皮の中央を膨らませるようにして、打ち粉が残っている作業台の上に立てて乗せる
- <ゆでる>全部包み終え、鍋の湯がぐらぐらと沸いたら、餃子を皿に入れて(重なってもよい)鍋の上で皿を傾けてなるべく短時間で餃子をすべて鍋に入れ、強火のままスプーンで鍋の中をぐるぐるかき回して対流を作って餃子をどうしがくっつかないように浮遊させる。
- 餃子が全部浮いたらコップ1杯の水(分量外)を入れていったん温度を下げ、再度沸騰したら出来上がり。
- Enjoy!
材料と調理のこつ
:
- 皮を作る粉の量を中国のパンジン(半斤、250 g)に固定したレシピです。
- 皮の水分量は粉に対して約46%です。
- 熱湯115 gは119~120 mLです(密度が約0.96 g/cm3なので)。
- 皮に加える材料の合計は理論上368 gですが、こねる容器や手への付着と水分の蒸散により減じて約360 gの生地が完成し、これを36等分するので皮1枚の重量は約10 gです。
- 生地をこねたあと放置するときは、乾燥しないようにビニールシートをかぶせます。ラップ(ポリ塩化ビニリデン)よりもジップロック(ポリエチレン)のほうが水分透過性が低いので、私は大きなサイズのジップロックの3方向を切り開いたものを使って包んでいます。なければラップやかたく絞った布などを使います。
- 私の作成では皮1枚10 gあたり具7 gかそれより少し少ないくらいがかなりベストです。よって7 g×36個=250~260 gの具となるように具の量を整えています。ニラ110 gは洗ってザルで水切りすると水分が付着して120~130 gになり、具の量の合計が理論上250~260 gくらいになります。
- 皮を目分量で等分すると誤差ばかりが生じてしまうので、慣れないうちは棒状に延ばした生地を1 g単位で計量できるデジタルスケールの上に切り落として10 gに調整してすべてを均一にするほうが無難です。こうして慣れていくとやがて目視で10 gを切り落とせるようになります!
- 丸い皮を作るために必要なことは、延ばす前に丸いことです。なので切り分けた生地をまずは丸くし底が平らなコップなどで正円に広げ、そこから麺棒で延ばすと大変きれいに作ることができます。
- 皮を延ばすとき、麺棒で手前から奥まで直径全部を延ばしてしまうと縦長の楕円になってしまいます。それを避けるため、端から中心までの半径部分のみを延ばし、少し回転させて次を延ばし、1周して皮を完成させます。
- 皮を直径7 cmよりも大きく延ばすと薄くなってもちもち感が出ず、また具が入っていないヒダ部分がひらひらしてワンタンみたいになって水餃子感が出ません。直径7 cmより小さいと包むときに具がはみ出て失敗しやすくなります。慣れないうちは直径7 cmのコップなどを作業台に置き、延ばした皮のサイズ合わせができるようにしておきます。こうすると最初から最後まで均一サイズの皮を作ることができます。
- 皮の中央がやや厚くなることで、具を入れて端を閉じてぎゅっとしたときに具に押されて中央が伸びて丁度よくなります。ということは皮を作った段階で中央が薄いようでは仕上がりの生地が薄くなりすぎてもちもち感が出なくなります。
- 皮の端が薄くなりすぎないよう端の厚さを保ちます。これはあまりに薄くなりすぎると皮のデンプンが少なくなる&乾燥が早まることから包んだときの接着力が弱くなり、ゆでる途中で皮が開いて失敗しやすくなるためです。
- 皮を36枚作るとき、重ねると互いにくっついてしまうのでビニールシート類の上などに重ねずに置きます。このとき下の面は乾きにくく上の面から乾いてくるので、包むときは上の面を手のひらに当て、乾いていない下の面に具が乗るようにすると、皮がとじやすいので失敗が減り、また包んだあとの餃子と餃子がくっつきにくくなるのでゆでる段階の失敗も減ります。
- 具を目分量ですくっていくと最後のほうで過不足が起こりやすいのですが、この作り方のように、最初に36等分しておくとスピーディーに正確に具を取ることができます。
- 「右手人差し指を第二関節でカギ型に曲げ、餃子の円弧の半周をすべて当て、右親指と左親指で半周の半分ずつを押さえて一気に全部を閉じる。」の段階で、人差し指と親指の関節の位置がでっぱり、そのでっぱりがあるから箸でつかみやすくなります。
- 「力をかけて具が皮の中央を膨らませるようにして」の工程がないと円形の皮を2つ折りにした半円形の餃子で終わってしまいますが、具が皮の中央を膨らませると、ひし形というか上手い具合に立体の形を出すことができます。
- 調理時間1時間50分の内訳は、粉を計量して初回こね終わるのに15分、初回放置(その間に具を用意)に15分、2回目をこねて10分、2回目放置に15分、皮を作るのに20分、具を等分して包むのに25分(その間に湯を沸かす)、ゆでるのに5~8分、プラス少々です。前日に粉を練るなどしておけば当日の調理時間はもっと短くなります。
- ゆでるとき、餃子がまな板の上などに乗っていてボチャボチャと湯に落とすようでは湯が跳ねて非常に熱くて危ないです。鍋より小さな皿に乗せ、皿の大半を湯に浸けてでも餃子がスムースにスライドして落ちるようにし、くれぐれも火傷をしないように。
- ゆでるとき最初は餃子が沈むので、餃子どうし、あるいは餃子と鍋がくっつかないよう、鍋の中に対流を起こして餃子を浮遊させます。
- 餃子が浮いたあとに水を差して再沸騰させることで、豚肉の中心まで火が通った状態になりやすく、食中毒のリスクが減らせます。
- 36個の水餃子はごはん(炊いた米)不要で食べるなら2人前(1人18個)です。ごはんやほかのおかずがあれば5~6人前(1人6~7個)にもなります。
- 以前に餃子のゆで実験をしたときの参考値ですが、餃子をゆでる前後の重量比が1.2でした。よって餃子1個を皮10 g+具7 g=17 g、これを1人18個食べるとすると、1人約370 g(17 g×18×1.2=367 g、皮に付着する少々の水分を含めて実測値374 g)の餃子を食べることになります。このうち具は7×18=126 g=約130 gとすると水を吸った皮が約240 gで、主食として十分な量になります。
- ゆで汁は「面汤」(ミェンタン)として飲みますので食事の間は捨てずに置いておきましょう。
- 食べるときは辣油と黒酢で。醤油を使わずに食べると現地風です。手作り辣油のレシピは≫こちら。
中国の「一斤」の水餃子のレシピ化のために中国人に質問し、重量変化を自己測定しました。
Tips about cuisine
- 「水饺」(シュイチャオ)のピンインは「shuǐ jiǎo」。
- 「水饺」(シュイチャオ)を日本の漢字で表記すると「水餃」で、水餃子の意味である。
本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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