オイルダウン
名前が面白い料理ですね。オイルダウンとは、煮汁の水分が飛んで油分が残ることが料理名の由来になっているとのこと。美味しさの素晴らしさは、まず、ごった煮らしく、様々な旨味が感じられること。それからココナッツミルクの美味しさ。そしてスコッチボネットペッパーの、すがすがしい香りが立つ現地の唐辛子の香りです。もともと奴隷層の料理だったので、豚のしっぽを使うレシピが本物ですが、ここでは豚足でその良い味の再現も含めて調理しています。現地ではパンの木の実を使うのですが、日本では手に入りにくい食材なので、スーパーで手に入る食材の中で最も味と食感が似ているものとして、京イモ(大きなサトイモ)を使用しています。これはなかなかナイスアイディアで、カリブ海の味を崩さず再現することができました。
材料
(2~3人分):
<ダンプリング>
- 中力粉
- 1C
- 塩
- 小1/3
- 水
- 70mL(※1)
<煮込み>
- ココナッツミルク(※2)
- 1C
- ターメリック
- 小1/3
- カレーパウダー(※3)
- 小1/3
- 玉ねぎ
- 1個
- にんにく
- 2かけ
- セロリ
- 15cm(※4)
- サトイモ(※5)
- 400g
- にんじん
- 1本
- ピーマン
- 2個
- ほうれんそう(※6)
- 1/2~1/3束
- サラダ油
- 大2
- 塩さば(※7)
- 1/6枚(※7)
- 豚足(※8)
- 200g
- 水
- 100mL
- 塩
- 小2/3
- 乾燥タイム
- 少々(※9)
- 唐辛子(※10)
- 1本
- ※1:粉の吸水具合により水の使用量が変わります。よって1カップくらい用意しておくとよいです。
- ※2:ココナッツミルクのもつ油分が大事なので、パウダーを避け、缶詰かパック詰めのものを使います。
- ※3:ガラムマサラを使ってもよいです。
- ※4:セロリの葉を刻んで加えてもよいです。
- ※5:あれば京イモ(海老イモ)やセルベスのような大型のものを使います。普通のサトイモを使う場合は粒が大きなものを買い求めます。
- ※6:現地ではタロイモ(サトイモ)の葉を使いますが、ほうれんそうはその代用です。
- ※7:塩サバは、半身を3つにカットしてあるものを買い、そのうちの1つを使うと簡便です。
- ※8:豚足は毛など処理済みのものを使います。おつまみ用にパックされたものを使うと簡便です。
- ※9:乾燥タイムは、4枝あるいは小1/2程度使用するとよいです。
- ※10:現地では独特の香りが良いシネンセ種の唐辛子(スコッチボネットペッパー)を使いますが、日本で手に入る唐辛子では香りがまるきり違います。しかし唐辛子気分を取り入れるために丸ごと1本使うとよいですし、ない場合は省いてもよいです。
調理時間
:1 時間 30 分
作り方
:
- <ダンプリングを作る>中力粉と塩をボウルに入れ、水を50mLほど加え、スプーンでぐるぐる混ぜ、あとは少しずつ水を足しながら粉がほぼ残らなくなるまで混ぜていく。
- 手に生地を持ち、手のひらを使って弾力が出てくるまでよくこね、丸くまとめてからボウルに戻し、フタをして置いておく。
- <煮込みの準備開始>ココナッツミルクにターメリックパウダーとカレーパウダーを混ぜておく。
- 玉ねぎは縦半分に切ってから5mm幅に切り、にんにくは縦2つ割りにし、セロリは5mm幅に切っておく。一緒に合わせておいてよい。
- サトイモは皮をむいて洗ってから縦に長く大きめに切り(イメージは1/8カットりんごのようなサイズ)、にんじんは皮をむいて1cm厚さに輪切りにし、ピーマンはヘタと種を取って大きめにざく切りにする。
- 鍋に湯を沸かし始める。
- 沸騰するまでの間に、台の上に打ち粉(分量外)をし、中力粉を練った生地を乗せて表面に粉をつけてから、4等分に輪切りにする。
- 生地の断面にも打ち粉をつけ、直径6~7cmの円盤状にし、沸騰した湯に入れて8分間あるいは浮いてくるまでゆでる。
- ゆであがったダンプリングを皿に取り出しておき、残った湯にほうれんそうを入れて下ゆでする。
- ほうれんそうに火が通ったら取り出し、4cm長さに切っておく。
- 鍋をいったん洗って水気を拭き取り、サラダ油を入れて火にかけ、玉ねぎ、にんにく、セロリを入れて、香りが出るように炒める。
- 塩さばと豚足を入れ、水100mLを入れ、ぐつぐつ煮立てる。
- サトイモとにんじんを入れ、ゆであがったダンプリングを乗せ、ココナッツミルクをかけ、塩を入れ、更にその上からピーマンとほうれんそうを乗せ、乾燥タイムと唐辛子を乗せる。
- フタをして弱火にして、途中2、3回サトイモをひっくり返しながら、40分あるいはサトイモが柔らかくなるまで煮る。
- フタをあけ、水分が減ってココナッツミルクの油分が具に絡まるように、水分を飛ばしていく。途中味見をして塩加減などを好みに調える。
- Enjoy!
材料と調理のこつ
:
- 現地ではブレッドフルーツ(パンノキの実)や緑のバナナやタロイモを使いますが、特に前2者は日本では手に入りにくいので、最も良い代用は京イモ(海老イモ)などの大型のサトイモを縦に長めにカットして使うことです。普通のサトイモの場合は、粒が大きいものを買い求めるとよいです。
- ここでは豚足を使うレシピとしました。現地でよく豚のしっぽの部分を加える代用です。
- ここでは塩サバを使うレシピとしましたが、好みにより、その他の燻製魚や塩豚などを使ってもよいです。
- ターメリックパウダーは「カリビアンサフラン」(Caribbean Saffron、カリブ海のサフラン)あるいは単にサフランと呼ばれます。現地のレシピでサフランと書いてある場合、ターメリックパウダーであることが多々あります。
- カレーパウダーやターメリックパウダーを入れないレシピもあります。その場合は出来上がりが白くなります。しかし日本で缶詰等で手に入るココナッツミルクは現地のフレッシュ品に比べると味が劣ることからココナッツミルクだけで旨味を得るには分が悪いため、カレーパウダーやターメリックパウダーを加えて作るほうが美味しい仕上がりになります。
- 塩サバは切らずに入れてよいです。煮る間に、鍋の中でほぐします。
- 緑のネギを加えるレシピもあります。九条ネギやあさつきなどを1cm小口切りにして加えてもよいです。
- 唐辛子を長く入れるほど辛くなるので、辛いのが苦手な場合は、途中で唐辛子を取り出します。
- 最後、水分を飛ばしていくときは、焦げ付かないように注意します。また完全に水分が飛ぶような仕上がりでは食べにくくなるので、ほどよくソース状にココナッツミルクが絡む程度で加熱を止めます。しかし水分が多いスープ状態では料理名の「オイルダウン」(油分がにじんで残る状態)にならないので注意します。
- 最後に味見をして塩加減などを好みに調えるとき、旨味が足りないと思った場合は、鶏がらスープの素など肉系のダシを加えるとよいです。
Tips about cuisine
- オイルダウンの英語(グレナダ、バルバドス、トリニダードトバゴの公用語)の綴りは「Oil down」。
- 「Oil」(オイル)は油分、「down」(ダウン)はにじみでる様子を意味する。よって「Oil down」(オイルダウン)は「水分が飛んで油分がにじみ出るような煮込み」を意味する。
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