米国料理

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【基礎情報】

国名:アメリカ合衆国United States、首都:コロンビア特別区(通称ワシントンDC)、ISO3166-1国コード:US/USA、独立国(1783年英国より)、公用語:英語、通貨:アメリカ合衆国ドル

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【地図】

米国(アメリカ合衆国)は北米大陸の国で、全50州のうち48州が本土にあります。本土は北にカナダ、南はメキシコと接し、東は大西洋、西は太平洋に面しています。カナダを挟んで北西にアラスカ州が、太平洋上にハワイ州があります。

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◆工場で作られる食料品が多く、カロリー過多の傾向。でも食の幅は広いです

日本でアメリカ料理と言うとファストフード店やステーキハウスのような食事が思い出されます。それは日本人が、ハンバーガー、ステーキ、フライドポテト、ピザなど、アメリカ人がよく食べる料理をそういう店で身近に食べてきたから。そしてそれらは野菜不足や油脂過剰から不健康な扱いをしばしば受け「アメリカは料理が乏しい」とまで言われる始末。でも「アメリカ=食生活が乏しい」というのは米国料理を知らない人の意見です。米国の全50州で食の旅をした私でさえ「行く前にイメージしてたのと違った」ことの連続で、米国は多人種・多民族性のみならず、創作の熱気があるから日本人に知られない米国料理がたくさんありますよ。ただ流通する食料品は工場から出てくる近代的な加工食品が多くて不自然で、飲食店は揚げ物やチーズたっぷり料理が多くて油脂過剰。米国では自制しないと簡単に太っちゃいます。

米国
イリノイ州名物シカゴピザ!ピザを深皿形に作り中はチーズの海(撮影地プレーンフィールド)

1492年にコロンブスが新大陸を発見後、欧州白人(主に英国人とフランス人)が北米大陸に入植します。その後欧州における英仏対立と連動して起こった北米での英仏対立(1754年~)で英側が勝利したことで、フランスは北米植民地をすべて失い、ミシシッピ川以東が英国のものになりました。当時は東海岸沿いに大英帝国の植民地が13個あり、のちにこの13植民地が連合して英国本土に戦勝して独立し(1783年)、今のアメリカの前身が出来上がります。今も国旗の13本のストライプにその13植民地の栄誉が示されています。

その後のアメリカ合衆国の歴史は領土拡大の連続です。米国料理の特徴を「地域に分けて」つかむためには、「どの地域がどこからきたか」という知識が非常に重要なので、以下に箇条書きにします。

  1. 1803年フランスからルイジアナ購入(※今のルイジアナ州は南部のごく一部だが当時のルイジアナはメキシコ湾からカナダまで伸び超広かった)
  2. 1818年英国よりノースダコタ譲受(その代わりカナダにはみ出していた部分を譲渡したので今のカナダ国境線が直線である)
  3. 1819年スペインからフロリダ買い取り

白人は依然増え続け、とにかく土地が欲しい。一万年以上前から住んでいる先住民族(ネイティブアメリカン(インディアン))を退けてでも土地が欲しくて、1830年代ジャクソン大統領の頃は残虐性(インディアン強制移住などの浄化政策)にも拍車がかかり、土地の収奪に熱が上がります。

  1. 1845年テキサス(元メキシコで独立国になっていた地域)併合
  2. 1846年オレゴン併合(これにて念願の太平洋側獲得)
  3. 1848年メキシコとの戦争に勝ってニューメキシコやカリフォルニアなど獲得
  4. 1853年メキシコ北部を買い取り(現アリゾナ州南部など)
  5. 1868年ロシアからアラスカ買い取り

この頃アメリカは、「奴隷制推奨の南部」(アフリカの黒人を奴隷にするビジネスが横行していた)と「奴隷反対の北部」の対立から南北戦争が起こり(1861年)、その終戦(1865年)はアメリカの全国統一達成で、これにて国内の情勢が安定したことから「西部開拓ブーム」が起こります。西部開拓とは「大草原の小さな家」で日本人にも広く知られるようになった欧州系白人のミシシッピ川以西への移動と定住と土地の開拓です。白人で多かったのは、英国人(すでに英国系の住民が大勢いるので来やすい)、ドイツ人(革命失敗派など政治的難民が大勢脱出してきた)、アイルランド人(英国の搾取と苦難から大勢が脱出してきた)です。これにより特に中部平原には巨大農園(牧場、大豆畑、とうもろこし畑など)がひしめき、今やアメリカは世界有数の農業大国です。

1870年以降のアメリカでは東部を中心に技術が発達し、生活も急速に近代化しました。大型機械化農業も発達して農業効率も増し、工業・農業・経済のすべてに成功する大国になりました。第二次世界大戦(1939~45年)や東西冷戦(1947~89年)を経て米国が名実共に世界筆頭の大国となった経緯は、今日本人の我々が深く知る通りです。

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さてここまで米国の歴史と現在を紹介しました。そこから米国の食文化の要素が見出せます。

米国は多人種国家なので、まずは人種の視点で料理を理解しましょう。米国の最大人種は白人で、内訳は「英国・アイルランド系アメリカ人」と「ドイツ系アメリカ人」が多く、料理にもそれが反映されています。「英国・アイルランド系アメリカ料理」としてはパイローストビーフベイクドビーンズ(煮豆)などが、「ドイツ系アメリカ料理」としてはハンバーガーホットドッグがあります。そのほか「イタリア系アメリカ料理」としてのピザもアメリカ料理の主要な柱です。

2番目に多い人種は黒人です。上の歴史に出てくる「アフリカ由来の黒人奴隷」は奴隷制終了後も大勢がアメリカ南東部に残りました。カラードグリーン(青菜のくたくた煮)やキャットフィッシュフライ(ナマズのフライ)などが有名料理です。またカナダ方面から迫害されて黒人地域に移住してきたフランス系住民と文化が混ざって生まれたガンボ(ねばねばシチュー)やジャンバラヤ(スパイシーライス)も黒人地域の有名料理です。

米国の人口統計には「ヒスパニック」という区分があります。ヒスパニックは人種の一ではなく「アメリカのスペイン語話者」が定義です。上で見た歴史のようにアメリカには「元メキシコの地域」が多く、メキシコは長くスペインの植民地だったのでスペイン語が根付いており、今米国ではヒスパニックが人口の2割を占めています。ヒスパニック料理はメキシコ料理同様にトマトや緑野菜を上手に使うからカラフルでヘルシーだし、唐辛子やスパイスを上手に使うので美味しいし、米をよく使うので日本人にも嬉しい。ヒスパニック料理としてはブリトー(小麦粉の薄皮で具を包む)やファヒータ(細切り肉炒め)やメキシカンライス(トマト炊き込みごはん)などメキシコと共通する料理がたくさんあります。

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アメリカ料理の特徴として思うこと。
アメリカの初期移民は英国人で、フランス人的な食の興味を持たない(=食の目的は空腹をなくすこと)。その特徴は今も受け継がれている。かつて飛行機がない時代、体力のない移民や奴隷は大海を生きて渡りきれないから、アメリカは白人も黒人も根本が強いんです。そこからさらに荒野で生き延びて西部開拓した白人なんて驚異的で、西部開拓で広大な土地でランチ(Ranch、大農園)を築き畜産を含めて農業大国になって、結果、アメリカ料理はサイズがでかい。飲食店のテイクアウトドリンクも巨大サイズがあって、ケーキや菓子もサイズもでかい。外食すると料理の付け合わせでは高頻度でフレンチフライ(フライドポテト)がついてくるし、そもそも揚げ物料理は任せて!という声が聞こえそうなほどの揚げ物文化で、チーズ大好き性分からこれまた料理がカロリー過多になる。現地に行くと自分から真剣に節制しないと油脂過多&糖過多になってしまいます。でも山がちの日本と違って平地が広大で牛が育つ環境が良いし、アメリカはステーキもバーガーもローストもスモークも、とにかく肉が美味しいです。日本人はポテト揚げまくりチキン揚げまくり肉どかんなイメージから時にアメリカ人を「味が分からない人々」のように言いますが、「肉の味は分かる人々」と言うほうが適切でしょうね。アメリカのスーパーの肉売り場を見るといい肉がちゃんと塊で売られているからうらやましくなる。スーパーで普通の庶民が手にする肉の質が悪い日本としては(すでに薄切りやカット肉ばかりで絶対肉質落ちてるでしょう?)アメリカに負けます。

あなたが米国に行ったら、(冷凍食品や安いチェーン店でなく)シェフが腕をふるうレストランで肉料理を食べてください。リーズナブルな価格なのに「肉がうまい」と気付きますよ。そしてスーパーで買い物をし、シリアル、油(揚げ物)、缶詰、ジュース、オーブンや電子レンジに入れて加熱するだけで出来る冷凍食品など「自然でない」食品を次々に体感して「工業化の近代化の食」を実感しましょう。そうすると健康に良さそうな食材や料理を選ぶとお金がかかることを身をもって体験し、貧富格差が大きなアメリカの「食がもたらす不健康問題」を大きく理解できます。しかしこのような「工場から出荷される食品」は今や世界中に広まっていますから、米国は「世界的近代料理の最前線」を作った偉大な国でもあるのです。

以上、歴史、人種、民族、地理などを背景に米国の食文化を知る基礎を解説しました。米国料理を理解するためにはまずはこんなことを知っておいたらいいと思います。あと私たちは日本の食文化において、例えば「京都」や「北海道」と聞けば、場所が分かるから食の理解を深めやすいですよね。米国も同じで地方色が結構あるので、例えば「カンザス」や「ウィスコンシン」と聞いたときに地理的イメージが沸くよう、50州は名前を聞けば位置が分かるようになっておきましょう。米国料理の学びが楽しくなるし、普通に日本で暮らしていても役立つこと満載なのでこれはおすすめです!

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