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【基礎情報】
国名:チェコ共和国、Czech Republic、首都:プラハ、ISO3166-1国コード:CZ/CZE、独立国(1992年チェコスロバキア解体後1993年より)、公用語:チェコ語、通貨:コルナ。
【地図】
チェコはヨーロッパの内陸国で、ドイツ、ポーランド、スロバキア、オーストリアに囲まれています。
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◆肉とビールとゆでパンが名物の、ヨーロッパの内陸国。
チェコは中欧に位置する内陸国です。ボヘミアの森やモラビアの平原に、首都プラハの歴史的かつ芸術的な街並みなど、チェコの美しさは多くの人に賞賛されています。チェコに行ったら、最も有名な伝統料理である「ヴェプショ・クネドロ・ゼロ」を是非食べてきてください。それはヴェプショ(お肉のローストやグリル)と、クネドロ(中欧に根付くゆでパン)と、ゼロ(発酵キャベツ)の盛り合わせで、これとビールやワインをいただくと、まるで食卓にチェコの歴史の縮図を見るようです。
チェコに行ったらお肉の美味しいローストを是非。(撮影地プラハ)
ヨーロッパの地図を眺めると、チェコは欧州の真ん中にあることを実感します。周囲とはすべて陸続きであるがゆえ、チェコの歴史には、ケルトやスラブやマジャール(フン)など多様な民族が登場し、そして神聖ローマ帝国やオーストリア=ハンガリー帝国など、多難な被支配の歴史が登場します。
1993年に誕生したチェコは、チェコスロバキア(1918~1992)からスロバキアが脱離してできた国家です。チェコ人(チェック人)もスロバキア人も西スラブ人に属するという統一概念のもとでチェコスロバキアという連邦国家が成立したものの、神聖ローマ帝国/ドイツの一部でドイツの影響を受けてきたチェコ(特にボヘミア)と、マジャールの影響を受けてきたスロバキアでは民族アイデンティティが異なり、チェコ側とスロバキア側の不均衡から解体を迎えました。よって、今、チェコはチェコ人による単一国家に近い国となっています。
これらのことをまとめ、チェコ料理とチェコ食文化を知るときは、
- 完全内陸国であり海をもたないこと
- スラブ(西スラブ)系民族の国であること
- チェコ人(チェック人)による単一民族(に近い)国家であり、全土でチェコ語が話されること
- ドイツやオーストリア文化の強い影響を受けてきたこと
の4点を念頭に置くと分かりやすいです。
料理は肉ベースで、白いゆでパンが名物で、もさもさしたゆでパンはスープやグレービー(肉の焼き汁)を吸わせるのにぴったりです。じゃがいもや発酵キャベツをよく消費し、世界的に知られる美味しいビールなど、知れば知るほど興味深いチェコ料理を、それでは見ていきましょう。
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主食 Staple
クネドリーキはチェコ料理には欠かせないゆでパン(または蒸しパン)で、2cmくらいの厚さにスライスして多くの料理に添えられます。小麦粉から作るクネドリーキ、古くなったパンを練りこんで作るクネドリーキ、じゃがいもを混ぜて作るクネドリーキがあります。
一般的なパンはフレープと呼ばれ、伝統的には小麦粉やライ麦を使って生地に酸味を出してから焼くパンで、日本で「ドイツパン」と呼ばれるパンに似ているものも多いです。フレープ(パン)はクミン(キャラウェイ、※)で風味づけられることが多いのも、ドイツなど中欧のパンと共通しています。
※チェコ語のクミンは、日本でクミンと呼ばれるスパイスではなくキャラウェイです(日本で手に入るキャラウェイとも少し違います)。
中欧や北欧でよく見る、薄切りにしたパンを土台にするオープンサンドはチェコではフレビーチキと呼ばれます。ハム、チーズ、卵、パテ、ローストビーフ、ニシンの酢漬け、ピクルスなどが具になり、おもてなし料理やビュッフェの定番です。クリスマスにはヴァーノチカという編み込みパンが食べられます。
家庭では、ポハンカ(ソバの実)、クロウピー(麦の粒)、ヤーリー(ヒエ)などの雑穀類も食べられています。リージェ(米)も食べられますが、多くは輸入品であり、伝統的な主食とは言い難い位置づけにあります。
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肉のおかず Meat
チェコではお肉をよく食べます。消費量が最も多い肉は豚肉で、肉の消費量の半分以上を占めています。また、牛肉や鶏肉も人気があります。豚肉が好まれるのは(牛肉に比べて)生産時間が少ないことや、伝統的に好まれてきたという理由があるようです。
ペチェネーベプショヴェー(またはベプショヴェーペチェネー)は、ローストポークです。このローストポークにクネドリーキ(ゆでパン)と発酵キャベツが一皿に盛り合わせになったものは最も典型的なチェコ料理と考えられていて、ベプショヴェーペチェネースクネドリーケムアセゼリーム、口語でベプショクネドロゼロと言います。
スビーチュコバーは、脂肪を肉に射込んで煮て酸っぱいソースを添えたものです。スビーチュコバーはスメタニェ(発酵クリーム)仕立てのソースで食べることが多く、これをスビーチュコバーナスメタニェとも呼びます。グラーシュは肉類と野菜類をスパイスを使って煮込んで作るシチューで、ホヴィエジーグラーシュ(ビーフシチュー)が典型的なものです。
シュンカ(ハム)やクロバーサ(ソーセージ)など燻製肉もよく食べられています。プラシュスカーシュンカ(プラハハム)が名物です。中でも骨の近くの部位で作ったプラハハムは、ベーコンのような美味しさをもつ美味しい名物ハムです。
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お酒 Alcoholic Drinks
チェコで飲むお酒といえばピブニー(ビール)です。チェコの国民1人あたりの年間ビール消費量は世界一(2015年)。ドイツバイエルン地方から醸造技術がもたらされ、チェコのビール醸造所は993年には存在していたとの記録があります。チェコを代表するラガービールである「ピルスナー」はチェコ西部プルゼニ(Plzeň)が産地であり、今日世界的なビールとなっています。ブドヴァイゼル(Budweiser)も有名な銘柄です(米国のバドワイザー(Budweiser)とは同一でなく、世界中で商標をめぐる係争があるとのことです)。
チェコではビーノ(ワイン)も作られています。チェコのワイン醸造の技術は、神聖ローマ皇帝カール4世がフランスブルゴーニュ地方からもたらしたと言われ、チェコのブドウ畑の9割以上が東部モラビアの平原にあります。ボヘミアセクトというスパークリングワインが有名です。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary
【主食】
- ヴァーノチカ(Vánočka)・・・編み込みパン
- クネドリーキ(Knedlíky)・・・ゆでパンまたは蒸しパン
- クロウピー(Kroupy)・・・麦の粒
- フレープ(Chléb)・・・パン
- フレビーチキ(Chlebíček)・・・オープンサンド
- ポハンカ(Pohanka)・・・ソバの実
- ヤーリー(Jáhly)・・・ヒエ
- リージェ(Rýže)・・・米
【肉のおかず】
- グラーシュ(Guláš)・・・肉類のシチュー
- ヴィエジーグラーシュ(Hovězí guláš)・・・ビーフシチュー
- クロバーサ(Klobása)・・・ソーセージ
- シュンカ(Šunka)・・・ハム
- プラシュスカーシュンカ(Pražská šunka)・・・プラハハム
- スビーチュコバー(Svíčková)・・・脂肪を肉に射込んで煮て酸っぱいソースを添えたもの
- スビーチュコバーナスメタニェ(Svíčková na smetaně)・・・発酵クリーム仕立てのスビーチュコバー
- ペチェネーベプショヴェー(Pečené vepřové)・・・ローストポーク
- ベプショヴェーペチェネー(Vepřové pečené)・・・ローストポーク
- ベプショヴェーペチェネースクネドリーケムアセゼリーム(Vepřová pečeně s knedlíkem a se zelím)・・・ローストポーク、ゆでパン、発酵キャベツの盛り合わせ
- ベプショクネドロゼロ(Vepřo knedlo zelo)・・・ローストポーク、ゆでパン、発酵キャベツの盛り合わせ
【お酒】
- ビーノ(Víno)・・・ワイン
- ピブニー(Pivní)・・・ビール
- ボヘミアセクト(Bohemia Sekt)・・・代表的なスパークリングワイン
【その他】
- クミン(Kmín)・・・キャラウェイ
- スメタニェ(Smetaně)・・・発酵クリーム