【基礎情報】
国名:コスタリカ、Republic of Costa Rica、首都:サンホセ、ISO3166-1国コード:CR/CRI、独立国(1821年スペインより)、公用語:スペイン語、通貨:コロン。
【地図】
コスタリカは、太平洋とカリブ海に挟まれた中米の国です。北にニカラグア、東にパナマと接しています。
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◆コスタリカはメスティソの文化。それはインディオとスペインの融合です
森と火山とビーチの国コスタリカへようこそ。コスタリカは豊かな自然とエコツーリズムを誇る国で、幻の鳥ケツァールを見つける森のツアーやチョコレートファームツアーなどが人気ですね。メスティソ(インディオ(先住民)とスペインの混血)が多く、中米諸国の中でも白人系住民(白人+メスティソ)の比率が高いコスタリカは、人も料理もインディオとスペインの融合です。
国民食の「ガジョピント」(豆ごはん)は朝食の定番(撮影地サンホセ)
コスタリカは面積およそ5万平方kmで北海道より少し小さい国です。全土が熱帯気候に属し、地理的には森と火山とビーチの国。ほとんどの地域は標高900〜1800 mに位置するのでやや冷涼で、森をうまく拓いて農業を行っています。海あり山あり自然あり、作物がよく育つ熱帯の気候あり。コスタリカのインディオ(先住民)は、森と海の食材を使う料理を食べ、豆やトウモロコシをタンパク質源やエネルギー源として重視しました。またチョコレートは古くから葬儀など特別な日に飲まれてきた伝統的な飲料でした。16世紀になりスペインから侵略者が入ってくると、中米諸国には米、小麦、野菜、果物などの新食材が持ち込まれました。
そもそも中米は北米(米国)と南米(コロンビア)の間の陸続きの区間で、メキシコからパナマまでの8か国を指します。しかし日本人には8か国の違いがピンときにくいので、よってここでコスタリカ料理を理解するために、中米各国の食文化の違いを簡単に解説します。
「メソアメリカ」という用語は文化よって定義される地域であり、グアテマラとメキシコ(南~南東部)を中心に栄えたマヤやアステカなどの影響を受ける文明圏を指します。食文化の点ではトウモロコシ粉をニシュタマリゼーション(アルカリ処理)したトルティーヤ文化をもちます。メソアメリカ文化圏はニカラグアあたりまで及びましたがコスタリカは圏外でした。一方、南米の大コロンビア圏はコロンビアを中心に今のパナマまで及ぶ地域であり、すなわち現在中米であるパナマはかつて行政的に南米だったのです。コスタリカは大コロンビア圏から見てもまた圏外でした。
このようにコスタリカは南北2つの大文化圏のどちらからも外れたジャングルの田舎。事実、中世にスペインが中南米を侵略・征服してきたときも、コスタリカがあまりに田舎なのと、森の先住民の抵抗が激しかったため、スペインはあまりコスタリカに執着できませんでした。植民地時代のほとんどの間、コスタリカはグアテマラ総督領の最南端の州で、スペイン総督には「全アメリカで最も貧しく最も惨めなスペインの植民地」と評され、プランテーション(換金作物栽培農園)を経営をしようにも人がまばらでエンコミエンダ(強制労働)する労働力がそもそもない。そのような田舎事情によりコスタリカはスペイン支配からやや孤立できたことで、農民の個人主義的な農業社会が残り、それが現在のコーヒー農園の成功につながっています。
中米のカリブ海沿岸の幾つかの地域には「ガリフナ文化」が根付いています。有名なのはベリーズ、ホンジュラス、ニカラグアで、アフリカから労働者として運ばれてきた黒人奴隷たちが最終定住した土地で、中米インディオとは異なるアフリカ系文化が見られます。しかし上記のようにプランテーション経営が活発化できなかったコスタリカには黒人奴隷労働者があまり入ってこなかったし、鉄道建設の労働者としてジャマイカ経由で入ってきたアフリカ人奴隷たちもその後コスタリカを去りました。よってコスタリカは、カリブ海に面するにも関わらずガリフナ文化の寄与が小さい。これもコスタリカの特徴です。
ガリフナ文化の寄与が小さいのはカリブ海をもたないエルサルバドルも同様で、コスタリカとエルサルバドルはまた、グアテマラやメキシコと違ってインディオ(先住民)があまり保持されなかったので、その結果、中米で白人系(白人+メスティソ(※))比率が高い国になりました。よって食文化もスペインの影響を多大に受けた料理が主体となりました。スペインのコシード(具沢山煮込み)はコスタリカのオジャであり、そもそもスペインが持ち込んだ米は今では筆頭の主食になっています。
※メスティソ:インディオ(先住民)とスペイン人の混血
コスタリカ料理の軸を突き止めたくて、中米各国の主要民族調査をして白人比率からコスタリカを考察しました
次はコスタリカの北に隣接するニカラグアとの関連です。
コスタリカがジャングルの田舎だった頃、スペインが作った初めての陸の輸送路がニカラグアへの道で、ニカラグアとは中世から陸路で物流がありました。近代においても、内戦でめちゃくちゃになった悪夢のニカラグアと民主主義がうまくいってる平和なコスタリカが隣接しているため、多くのニカラグア人がコスタリカに流入し、現在コスタリカに住む外国人の3/4がニカラグア人です。これらの背景よりコスタリカ料理は、食の内容も料理名もニカラグア料理に最もよく似ています。
最後は中米を総括します。
広大なメキシコを除いた中米残り7か国は全部あわせても日本の本州程度の面積しかありません。つまり中米自体がそれほど大きくないため、中米全体として似た食文化を持っていることも重要です。鶏肉や豆類がよく消費され、2大主食がトウモロコシと米であることは全中米に共通する食文化の好例です。
コスタリカ料理の基礎についてまとめます。
- 地理的には森と火山とビーチの熱帯の国。農業主体。現在はコーヒーが主力産業
- メキシコのようなトルティーヤ文化は薄い
- カリブ海に面するもののガリフナ(アフリカ黒人系)文化が薄い
- 中米で白人系(白人+メスティソ(※))比率が高く、スペインの影響を受けた料理の寄与が大きい
- ニカラグア料理と最もよく似ている
- ただし中米自体がそれほど広大ではないためそもそも中米全体の食文化に共通点が多い
以下各論ではコスタリカの料理について食材別に紹介していく予定です。
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