ビルトン
「これぞ世界の料理に近づけた」と私が心底感激した、アフリカ南部の干し肉料理です。かつてオランダ人が大量入植してできたケープタウン。スエズ運河がない時代は欧州とアジアをつなぐ船は必ずケープタウンを経由しましたから、ケープタウンは繁栄を極める国際都市でした。農場があれば大型動物が屠殺されるし、ゲームミート(狩猟肉)が盛んで人気な南アでは、仕留めた獣から肉を取り出し、干し肉にします。干し肉は補給で立ち寄る船舶にも絶好の食糧だったことでしょう。この干し肉は、今やアフリカ南部の一般家庭でも好まれており、庶民に広く親しまれている料理です。アフリカーナーの大好物☆
材料
(仕上がり400~500 g):
- 塊肉(※1)
- 1 kg
- 酢(※2)
- 300 mL
- 塩
- 大1
- 砂糖
- 小1/2
- こしょう
- 大1
- コリアンダーパウダー
- 大1
- ガーリックパウダー
- 大1
- カイエンペパー
- 小1/4
- パプリカパウダー
- 小1
- クローブパウダー
- 小1/2
- ドライオレガノ
- 小1/2
- ※1:あまり脂がのっていない、牛のもも塊肉などがよいと思います。なければ赤身ステーキ肉やローストビーフ用の肉、鹿肉などでも。
- ※2:酢はワインビネガーがあると現地のレシピに近くなりますが、日本の酢でよいです。せめて果物の酢を使おうとここではリンゴ酢を使っています。
調理時間
:
作り方
:
- 肉を8 mm~1 cmの厚さの薄切りにする(幅は細くても太くても構わない)。
- ガラスのボウルに、酢と肉を交互に入れ、ときどき上下を返しながらフタをして4時間置いておく。
- その間に塩・砂糖・スパイス類を均一に混ぜてスパイスミックスを作っておく(できれば混ぜたあとミルサーなどで挽いておく)。
- 肉を酢から取り出し、キッチンペーパーなどで酢を軽く拭き取ってバットに並べ、スパイスミックスを表裏まんべんなくふる。
- 肉どうしが重ならないように糸を通し、換気扇の前や扇風機の風が当たるところに一晩吊るしておく。
- 重力で下がってきた肉を元に戻すように調え、風通しの良いところ、換気扇の前、扇風機の風が当たるところなどに数日間吊るしておく。
- 重量が肉の初期量の45%~40%以下になったら食べ始められます。
- Enjoy!
材料と調理のこつ
:
- 肉を酢漬けにするときはガラスのボウルを使うとよいです。金属のボウルは酢の酸と反応すると腐食しやすくなるためです。
- スパイスやガーリックは、あわせたあとミルサーなどで挽いておくとよいです。
- スパイスやガーリックは、現地でビルトン用のシーズニングとして市販されている香辛料ミックスの配合を取り入れました。ただし市販品も種類が多岐にわたるので、好みのスパイス加減があればそれで作っていただけます。
- 肉を吊るすとき、表面が乾くとスパイスの一部が落ちてくるので、下に何かを敷いておくとよいです。
- 鹿肉やイノシシ肉などの狩猟肉を使って作ると美味しいです。その場合気になるなら一晩乾燥後に100℃くらいの低温オーブンに20分くらい入れて殺菌を強化するとよいです。
- 最初に1 kgの肉を用意したとして、乾燥後の重量が450 gや400 gを下回ると干し肉として完成です。干せば干すほど水分が抜けますが、水分が抜けすぎないほうが味わいは美味しいと思います。
- 保存するほど酢の酸味はなくなっていきます。酸味がほのかに残っているときはなかなか美味しいです。
- 干し肉として完成したら、その後はタッパなどに入れて冷蔵庫に置いておくとよいです。
Tips about cuisine
- ビルトンの南部アフリカ現地での綴りは「Biltong」。
- 綴りは「Biltong」でも「ブルトン」(あるいはブルトンとビルトンの間の音)になる人が多い。
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