リグール

  • ロシア料理

  • 現地表記

    :Лъы гъур(北コーカサスの綴りの1つ)

  • 概要

    :ジャーキー状の肉の保存食

リグール

リグール

リグール

ロシアの北コーカサス地方を旅して出会った伝統干し肉料理が素朴でも力強く、素晴らしく、心を打たれました。出会ったのはナリチクというカバルダ・バルカル共和国の都。都市名も共和国名も聞いたことがないという人が多いのではないかしら。それほどに北コーカサスはその様相や文化がなかなか日本人に知られない秘境の地域なのです。お肉に塩をふって寝かせる工程で肉が硬化すなわち「キュア」します。これを調理すると、燻製のスモーキーなフレーバーとほどよい塩分と変化した肉質が美味しく味わえるのです。私たち日本人なら、例えばアジの刺身とアジの干物では、魚は同じでも、味わいや旨味や肉質がまるきり別物になっていることが分かりますよね。干物には、わざわざ手間をかけて干物にするだけの価値がある。そう、このリグールも、お肉の干物なのです。味わいや旨味や肉質が普段のお肉とはまるきり別物になっていて、旨味に価値があります。

北コーカサスの全共和国という秘境を旅して。そして北コーカサス料理の総括。

材料

出来上がり約200~250 g):

塊の肉(※1)
400 g
6 g
  • ※1:肉は赤身の牛肉が一般的です。脂身が極力ないものを選びます。

調理時間

(塩をまぶして寝かせる時間を除く)

作り方

  1. <前日~前々日>肉を2 cmくらいの厚さかつ面積が広くなるように切り、次に2 cm間隔で浅く並行に切れ目を入れ、塩を表裏まんべんなくまぶし、ビニール袋に入れるかラップに包んで冷蔵庫で1晩~2晩寝かす。
  2. <当日>バーベキューセットか長火鉢などを使い、肉が入る段ボールを用意し、段ボールの中で肉が宙づりになるようなものを作る。
  3. バーベキューセットか長火鉢などに炭を熾(おこ)し、段ボールの中で肉を宙づりにし、燻製チップやイラクサの葉をくべながら2時間燻製する。
  4. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 調理時間の2時間30分は、肉を切って塩をふるのに10分、燻製準備に20分、燻製に2時間と置いています。
  • 肉の種類は問いませんが、牛肉あたりが買い求めやすくて無難だと思います。現地にはイスラム教徒(豚肉忌避)もキリスト教徒(肉の禁忌がない)もいるし、山羊も羊も飼われているので、そういうあたりを理解しつつ肉を選ぶとよいです。肉は2 cm厚さくらいに広く切り出せるようにします。
  • 塩の量は肉の1.5%としています。このくらいだとしょっぱくなりすぎず、肉がうまく硬化(キュア)されて具合良いと思います。しかし現地では目分量でまちまちなので、厳密でなくてもよいです。
  • 現地では燻製の風味付けにイラクサの葉を使っていました。なくてもよいです。私は季節が合わなかったのでスイバで代用しました。
  • 燻製のときに炎が出ると温度が上がって肉が焼けてしまうため、炭から火が上がらないようにします。
  • この調理法で、元400 gの肉が220 gになりました。
  • 燻製しないで風乾させるだけの作り方もあります。

Tips about cuisine

  • 「リグール」の現地の綴りは「Лъы гъур」。北コーカサスの諸民族の綴りの1つで、カバルダ語かアディゲ語あたりではないかと思われるが詳細未検証。
  • 近隣の別言語だと思われるが「Лыгъур」の綴りもある。
  • 「Лъы гъур」(リグール)は干し肉・ジャーキー・燻製肉のような肉の保存食の意味であり、またその肉を使った料理の名称にも充てられる。
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