アクタク

  • 米国料理、カナダ料理

  • 現地表記

    :Akutaq(現地語の英語アルファベット表記)

  • 概要

    :クジラの脂肪で作るアイスクリーム

アクタク

アクタク

私はスーパーでときどき皮クジラが売られているのを見て、常々「アクタク」(クジラの脂肪で作るアイスクリーム)を作りたいと思ってきたんですよね。アクタクはエスキモー/イヌイットの伝統文化です。皮クジラは日本各地の郷土料理の食材で、今回はニタリクジラですがツチクジラやミンククジラのも見たことがあります。買った皮クジラはまずは薄切りにしてゆがいてある程度脂肪を落とした上で酢味噌でいただきました。ゆがいた湯を冷却すると脂肪分がたくさん浮きます。この脂肪を再度煮て冷ますことで精製し、この脂肪に雪と砂糖とフルーツを加えて撹拌して作るのが、アクタクです。クジラ臭さとかないですよ。脂肪って炭素数や不飽和度・・・簡単に言うと「油の化学構造が違うと味が違う」じゃないですか。クジラの脂肪は美味しい化学構造を有しているのだと思う。獣なのにω-3系・・・簡単に言うと「獣なのに魚油を持ってる」っていうのがすごいことだし、健康にも寄与するだろう。何よりもクジラの脂肪だから「脂が旨い」と強く思える。これ、ほかの油脂じゃそうそう作れませんよ。クジラの脂肪だからアクタクは旨味に満ちているんだ。脂が旨い、この脂がすごい。そして雪が極上のふわふわさを与えてくれ、素晴らしいアイスクリームを念願かなって堪能したのでした。

材料

出来上がりは取れる脂肪重量の約5倍):

皮クジラ(※1)
200 g以上
砂糖
脂肪の1.5倍量(※2)
雪(※3)
脂肪の同数値体積(※2)
冷凍ブルーベリー(※4)
脂肪の2倍量(※2)
  • ※1:皮クジラ(クジラの皮つき皮下脂肪)は下の写真のような市販品を使っています。ある程度の量がないとアイスクリームを作れないので、300 gはあったほうがよいと思います。クジラの脂肪がない場合の代用は精製ラードです。
  • 皮クジラ

  • ※2:皮クジラから取れる脂肪の量が一定でないため、取れた脂肪量(g)の倍数値でレシピを出しています。脂肪量の増減によってすべての材料の量を増減します。
  • ※3:雪はさらさらタイプの粉雪を使います。ない場合の代用は削りたてのかき氷です。
  • ※4:ブルーベリーはフレッシュな冷凍品を使います。なければその他のベリー類でもよいです。

調理時間

作り方

  1. <2日前>皮クジラは皮をつけたまま1 mm幅の極薄切りにする。
  2. 小鍋に湯を沸かし、皮クジラを入れて湯引きにし、皮クジラを取り出す(取り出したものは酢みそやポン酢で食べます。)
  3. 小鍋を寒気の中で1晩置いておく。
  4. アクタク

  5. <前日>鍋の中に浮いた脂肪固形分を取り出して別の小鍋に入れ、新しい水を入れて煮て、再度小鍋を寒気の中で1晩置いておく。
  6. <当日>鍋の中に浮いた脂肪固形分をキッチンペーパーの上に取り出して水分を除去し、重量を測定する。
  7. 脂肪重量に応じた量の雪、砂糖、ブルーベリーを用意する。雪は溶けないよう冷凍庫に入れておく。
  8. ボウルにクジラの脂肪を入れ、砂糖を加えてホイップし、柔らかく軽くし、冷凍庫にしばらく入れて、雪を入れても溶けない温度に冷やす。
  9. 脂肪のボウルに雪を入れ、全力でホイップして均一にし、再度冷凍庫に入れて雪が溶けないように冷やす。
  10. 冷凍ブルーベリーをさっと水洗いし、表面の水気を拭き取っておく。
  11. 脂肪のボウルに冷凍ブルーベリーを入れ、ハンドブレンダーなどで均一に撹拌する。溶かさないよう何度も休んで何度も冷凍庫に入れ、常にアイスクリーム温度を保つように細心の注意を払う。
  12. アクタク

  13. 味見をし、甘さ加減などを好みに調える。
  14. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • クジラの脂身から取れる脂肪の量が一定でないため、得た脂肪量の「倍数値」でレシピを出しています。今回皮クジラ200 gから約80 gの脂肪が得られたので、1.5倍量(120 g)の砂糖、同数値体積(80 mL)の雪(30 g)、2倍量(160 g)のブルーベリーを使い、出来上がり量が約600 mL(380 g)になりました。取れる脂肪の量が変わっても、この倍数値を使って調理していただけます。
  • 調理時間の6時間の内訳は、皮クジラを薄切りにしてゆがいて脂肪を得て精製脂肪を作るまでに30分(1晩の放冷時間を除く)、雪を集めてからアイスクリームになるまで5時間30分(冷凍庫で冷やす時間を含める)としています。
  • 雪は降りたてのものだと大気汚染物質のコンタミネーションが心配なので、しばらく降り続けたときに採取します。
  • ブルーベリーは皮ごと混ぜます。ブルーベリーが潰れてくると果汁が出てきて、果汁は脂肪に溶けず分離するため、凍っているうちにハンドブレンダーで急速撹拌しないと失敗します。空気を含めながら撹拌し、冷凍庫に入れて少し固くして、を時間をかけて繰り返すと、脂肪と果汁が微細に混合して上等のアイスクリームになっていきます。もし手動で作る場合は、力をかけても壊れない頑丈な泡だて器を使い、冷凍ブルーベリーが潰せる最低温度を狙って撹拌します。
  • 今回は日本で入手しやすいブルーベリーを使いましたが、現地では伝統的にはチョークベリーがよく使われ、現代ではブルーベリーやラズベリーなどがよく使われます。
  • 現地ではクジラの脂肪のみならず、ムース(ヘラジカ)の脂肪を使うこともあります。よってクジラ脂肪がない場合の代用は精製ラードです。でもクジラで作らないと面白くない。これはクジラから作るから面白いんだ! エスキモー/イヌイット文化がこれでもかと伝わるから素晴らしいんだ! と醍醐味を付しておきます (^^)v

Tips about cuisine

  • 「アクタク」の現地の言葉(エスキモー/イヌイット系言語)の英語(米国、カナダの公用語)綴りの一例は「Akutaq」。「Akutuq」、「Akutak」「Aqutak」など綴りには揺らぎがある。
  • 発音にも揺らぎがあり、アグダグやアグダクのように聞こえることもある。
本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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