モンゴルにおける小麦栽培の歴史と現在の状況を調べました。

モンゴルは「世界で一番人口密度の低い国」です。「人口密度が世界一低い」ということは、「世界で最も人が住みにくい国」ということでもあります。首都ウランバートルでさえ標高1300mもあり、モンゴルには草原のイメージがあるけれど、実は意外に山地が多くあります。草原も広がりますが、草原=耕作していない=人が定住していない土地=人が住めない土地、なのです。そして大きな川がない=水がない、なおかつ砂漠=雨が降らないのでは、人口はなかなか増えていかないですよね。「世界で一番人口密度の低い国」とは、そういうことです。

モンゴルの伝統的な遊牧民の暮らしでは、春から夏に家畜の子供が生まれるので、夏は乳を得る季節です。そして冬になると家畜を肉に変え、肉類を食べて冬を越し、また春がやってくる。家畜のえさとなる牧草を得るためには分解して運べる家(ゲル)が必要で、そうして牧草のあるところに随時移動して、家畜と共に暮らすのです。

そういう風にモンゴルを理解すれば、モンゴル料理において「肉と乳製品」が主要な位置を占めることが理解できます。

さて、私がここで知りたかったことがありました。モンゴル料理のもう一つの主要な位置を占める小麦の導入時期です。例えばモンゴルの伝統正月料理の1つであるボーズ(肉シュウマイ)を作るにしても、小麦粉を練って作る皮が必要です。ボーズのほか、バンシュ(餃子)、ホーショール(大きな揚げ餃子)、シャルサンバンシュ(小さな揚げ餃子)、バンシュテイシュル(餃子入りスープ)、バンシュテイツァイ(餃子入りミルクティー)、バンタン(小麦粉でどろっと作る粥)、ゴリルタイシュル(汁そば)などなど、小麦を使用する料理が多くあります。

そもそも、耕作をしない文化の人々に、栽培作物である小麦が定着したのは、いつごろのどういう経緯だったのでしょう?? 長年の疑問だったことが、今日やっと解決しました。

論文ベースの資料を見つけました♪
タイトルは、「モンゴルにおける小麦作経営の特徴と発展可能性の評価」(≫こちら

モンゴル小麦論文

その初文から読み取れたこと。

  • モンゴルで初めて土地を農地として開墾し、穀物を作付けしたのは19世紀の後半(清支配の時代)である。
  • 当時は、モンゴルに移住した中国人が自家消費の目的で小麦や野菜を作付けしていた。
  • 夏場は乳製品、冬場は肉製品が主食であったモンゴル人の食生活はモンゴル独立人民革命後から少しずつ変わり始めた。
  • 1921年に設立されたモンゴル人民政府は、翌年の春から農地の利用状況を調査し、1924年に耕種農業に関する条例を制定した。この条例の制定により、モンゴルにおける耕種農業発展の取り組みが始まった。
  • ソ連から多くの農業機械が導入された。

その後ソ連が崩壊し、ソ連の衛星国であるモンゴルにも資本主義経済への転換が訪れます。農場経営形態も国営から家族経営、法人経営、共同経営へと移行し、小麦の国内生産向上を目指す国家プロジェクトがあり、土地や気候条件に厳しいモンゴルも、干ばつなどの苦労を経て、現在に至ります。

現在は、モンゴル・日本人材開発センターの記事(≫こちら)によると、「モンゴルで小麦の完全な自給自足が見込まれる」とのことです。

日本にとって米は大事なもので、亜熱帯作物である稲作を、北海道での栽培を可能にした先人の努力があった。

モンゴルに小麦が導入されてまだ100年ちょっとしか経っていないのに、モンゴルの小麦にかける思いは、かつて日本が米にかけた思いに通じるものを感じます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
出典URL付記リンクを貼れば小規模な範囲でOKなこと】
・ご自身のサイト、ブログ、FacebookやTwitterにおける情報の小規模な引用や紹介。
事前連絡出典明記をお願いします】
・個人、団体、企業等の活動や出版等で、当サイトおよび当管理人のもつ料理レシピや写真を活用・使用したい場合(料金は≫こちら)。
事後連絡でもよいのでお寄せ下さい(楽しみにしています)】
・学校や大学の宿題や課題で当サイトを活用してくれた児童・生徒・学生さん。
ご遠慮ください】
・大々的なコピペや読み込み、出版物への無断転載。
・商用非商用ならびに営利非営利を問わず、個人、団体、企業等の活動や出版等での無断使用。
※免責事項:上記の引用に基づいて万が一損失・損害がありましても、対応はユーザーご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。